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2026年01月21日

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連載【いちがいもんの独り言 68】 対面販売で‟沼る”靴

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何度目か、似たような投稿になりますがご一読ください。


よく目にする「柔らかい」「ゆったり」「軽い」で外反母趾にも楽、とアピールしている靴。店舗で靴を販売している方も、そんな靴を外反母趾で困っている方たちに何となく勧めていませんか?


そうでしたら、勧めるのはやめてください!外反母趾を悪化させる原因になります。


「柔らかい」「ゆったり」だと、靴の中で足は不安定になり確実に前へ突っ込みます。行き場がなくなった足指の先が押され、横アーチが広がり外反母趾や内反小趾を悪化させます。


恐ろしいことに、柔らかいので痛みをごまかし何とか我慢できたりします。そうしているうちに取り返しがつかなくなります。取り返しがつかなくなった足に、仕方なくその場しのぎの靴を売るしかない場合は、必ずそのデメリットを説明する責任があると思います。


では、外反母趾や内反証小趾の足に良い靴とは…。

①ウエスト部分が絞り気味で、しっかりしていて締まること。※黄線で囲まれた部分(広がった横アーチを戻すことができるぐらい)


②靴紐や面ファスナー等で甲の締まりを調整できること。


③母趾球や小趾球部分辺りに切り返しや縫い目がなく、その辺りだけ柔らかいこと。※赤丸で囲まれた部分


それ以外の踵のホールドやソールの屈曲などは、通常の靴と同じです。見過ごしがちですが、外反母趾には①と③両方セットで重要です。


強い外反母趾・内反小趾の方でもこの写真の靴なら、「一日中気持ちよく歩けた!」「足ゆびを使っているのがよくわかる!」「もう〜この靴以外履けない!」と感動されます。もちろん外反母趾でない人も、同様の反応をされることが多々あります。


本当に感動してもらえるのは、対面販売でしかできません。「柔らかい」「ゆったり」「軽い」…は、完全に通販やネットの土俵です。わざわざ不利な土俵に店舗販売が上がらなくてもいいのに、と思います。


靴をなおざりにして、何でもインナーソールで問題が改善されるわけではありません。靴に関わる人はそのことを知らなければいけません。


また身体的事情や、仕事で脱ぎ履きが多く、どうしても脱着に手間をかけられない場合でも、履いた時の①のフィット感を大切にしてください。

シューズラボCueのお客様の足と‟沼る”靴を履いた様子。松下氏の話によると、この方の外反母趾は、まだ軽い方だという

おまけ。この靴は生真面目に作られているので、適正に売れば本当に快適です。さらに外反母趾の方にはベストに近いお勧め品です。


現在の売上高でだけは測れない、対面販売でお客様が‟沼る”フラッグシップモデルです。ただ、媚びていない靴なので、良さを理解して活かせる店舗が少なく、拡販には至らなかったのでしょう。


しかし、思い出してください。このブランドは、立ち上げ時に講習会を開いて登録制にしたことで定着したのではないでしょうか。あのとき、売り場を耕していなかったら定着していないかもしれません。


この靴も、お客様の反応を実際に目の当たりにしたり、体験すれば営業マンも実店舗も売る気になるでしょう。惰性で売れている品番の色数を増やすのではなく、先を見て、このような靴で再度売り場を耕し、ブランド力を上げる必要があるのではないでしょうか。


実店舗もこのような真面目な靴を活かせないと、わざわざ店に来て靴を買う人はいなくなりますよ!当店ではこの靴の在庫が底をついてきたので、心残りですがこの靴について語るのはお終いにします。


【松下誠氏のプロフィール】
シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボCue(キュー)」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。


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