
㊧村松英俊の個展「Return to Stone」を開催中。㊨同個展の開催に合わせ村松英俊氏と同ギャラリーによる合同企画「Wear to Stone」を開催。画像は会場内に展示している村松氏の作品
ベイクルーズが運営するアートギャラリー「art cruise gallery by Baycrew’s」の10回目の展示として、村松英俊氏の個展「Return to Stone」が11月21日(金)から開催されている。会期は2026年1月12日(月・祝)まで。
村松英俊氏は、モノや道具など既製品の一部分を大理石などの石に置き換え、モノの一部が石化した、あるいは石がモノの形に物化したイメージの作品を制作しているアーティスト。Return to Stoneというタイトルには、「すべての起源は石にある」という作家の思考が込められている。人がつくる鉄もガラスも、もとは鉱石から生まれ、やがてまた石へと還っていく。その循環を可視化する作品群は、過去・現在・未来を横断する時間の流れを映し出し、見る者に“存在とは何か”を静かに問いかけている。
本展の開催に合わせ、村松英俊氏と同ギャラリーによる合同企画「Wear to Stone」を実施。この企画は、限られた人数のみを対象に行われる特別なアートプロジェクト。
長い時間をともに過ごしてきた一足のスニーカーには、持ち主の歩みや記憶が静かに刻まれている。Wear to Stoneでは、実際に履き込まれたスニーカーがもつ履き皺や色落ち、ソールの減りといった時間の痕跡を出発点とし、それらを村松英俊氏の手によって大理石へと置き換え、一点一点が固有の村松作品として結実する。日常の中で生じた変化や摩耗を、不可逆的な素材へと変換することで、個人の記憶は永続する造形として結晶化される。
art cruise galleryはこれまで、アートとファッションが生活の中で自然に交差する場として作品を紹介してきた。この企画はその延長線上にあり、個人が所有してきたプロダクトを、作家の制作を通して村松作品として新たに位置づける試み。消費される存在としてのファッションではなく、時間とともに価値を深める造形として捉え直す──作家の制作行為と真摯に向き合うことで生まれる、特別な機会となるだろう。なお、会場内には「Maison Margiela」のシューズ、Replicaのソールを大理石化した作品が展示されている。
オーダーの募集人数は限定5人。受付期間は12月1日(月)〜12月30日(火)。制作費は70~80万円で、納期は受注から6〜12カ月。申し込みは、art cruise gallery店頭で実施している。受注については作家による現物確認を経た上で制作対応の可否を判断する。