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2025年05月14日

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国際ファッション専門職大学、「産学連携ソーシャルレザープロジェクト」の成果発表会を開催――害獣として駆除された鹿革を使った半纏(はんてん)を制作・披露

㊧メンズ・レディスの2着が制作されたジビエレザー製半纏。㊨デザインは江戸時代に流行した‟裏勝り(うらまさり)”を取り入れ裏地に凝った仕上がりとなっている。モデルはプロジェクトに参加した学生が務めた

国際ファッション専門職大学は3月21日、「産学連携ソーシャルレザープロジェクト」の成果発表会を開催し、害獣駆除された野生のニホンジカの革を使って制作した半纏(はんてん)を披露した。


この企画は、ファッションビジネスの未来を担う国際的な人材育成を行う同大学の国際ファッション学部ファッションビジネス学科平井秀樹教授のゼミと、レザーのプロデュースカンパニーであるロビココ、およびデザイン会社のVEROX.との産学連携によるもの。素材開発にはSOKA LEATHERの伊藤産業、日東皮革が協力した。


冒頭、平井教授が産学連携プロジェクトの経過について説明した。アパレル企業のワールドから大学教員に転身した平井教授は、2021年からD級レザーを活用したサステナブルな製品開発「LEZZA RESILIENCE(レッザ・レジリエンス)」プロジェクトをスタート。皮革卸の富田興業と協業して「ハットランプ」を制作し、実際に120個製造して2万3000円で販売後、同数を追加生産して計240個を販売した。


2023年に実施したプロジェクト第2弾では、「大人なサコッシュ」を制作し、応援購入サービスのMakuakeで4万3000円で10個を販売した。


そして2024年は、害獣レザーを使った火消しの半纏を制作する「ソーシャルレザー」プロジェクトを実施した。学生は平井ゼミから希望者4人が、2024年4月から週に1回集まり、1年かけて素材開発からブランディングまでに取り組んだ。


学生は、皮革産業を理解するために伊藤産業や日東皮革を訪問、皮革産業の現状や皮革がサステナブルな素材であることなどを学んだ。また、デザインについては、日本独自の半纏を日常でも使えるようにすることで、日本文化に興味を持ってもらうことを考えた。


ブランドは、英語の‟鹿”とフランス語の‟鎧(よろい)”を意味する言葉を組み合わせた「DEER ARMUER(ディア アルミュール)」とし、ゲルニカ柄を配するとともに江戸時代の粋な文化である‟裏勝り(うらまさり)”を採用した。VEROX.の坂田建吾代表取締役は「さまざまな異業種の専門家との共創で、新たな価値を生み出せた」と語っている。


なお、今回制作した半纏は海外のクラウドファンディング、Kickstarter(キックスターター)での販売を目指したが、30万円程度という高額のため難しいと言われたとのことで、現在、次のアウトプットを考えているところ。


ロビココの森田正明代表取締役は、皮革産業における資源ロスには、①傷やシミなど(ナチュラルマーク)があることで流通しない規格外レザー(D級レザー)、②何らかの理由で使われていないストックレザー、③革製品の製造過程で生じる端材レザー、④害獣として駆除されたジビエレザーが要因となっている、として「このプロジェクトは皮革産業が抱える資源ロスの問題を解決するもの」と述べた。今回使用した駆除された鹿皮が皮革として使われるのは全体の0.2%しかなく、あとは廃棄されているという。


なお、2025年の「産学連携ソーシャルレザープロジェクト」は、東京ピッグスキンにフォーカスする。東京・墨田区の豚革のメーカーが注目されるように、日本の伝統工芸である印伝とのコラボレーションで商品開発に取り組む。


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