オールバーズは、「Allbirds（オールバーズ）」が3月22日（水）、世界初のネット・ゼロカーボン・シューズ「M0.0NSHOT（ムーンショット）」を完成させた、と発表した。

Allbirdsは、シューズのカーボンフットプリント（ CO₂排出換算量）の業界平均14kgCO₂eに対して、0.0kgCO₂eのシューズ実現に向けた取り組みを行ってきた。製造方法やサプライチェーンを完全に見直し、カーボンオフセットに頼ることなく達成される。これをシューズ業界に一石を投じるものにすべく、「M0.0NSHOT」がネットゼロに至るまでのプロセスや方法をオープンソースにして公開していきたいと考えている。

Allbirds共同創業者兼共同CEOのTim Brown（ティム・ブラウン）氏は「ネット・ゼロカーボン・シューズを作ることは、私たちのこれまでの仕事の集大成でもある。M0.0NSHOTは、気候危機の特効薬ではないが、サステナビリティを真剣に考え、 CO₂排出削減に焦点を当てれば、信じられないほどのブレークスルーを起こすことができるという証明になる」と述べている。

M0.0NSHOTは、Allbirdsが創業以来、事業や製品において体系的にCO₂削減することに注力してきた長年の努力の結晶と言える。2018年、M0.0NSHOTのソールでも使用される史上初カーボンネガティブ素材であるサトウキビ由来のSweetFoamを開発。2019年にはファッションブランドとして初めて、商品にカーボンフットプリントを表示するようになった。そして2020年には、Adidasとのパートナーシップを発表し、その時点で世界で最もカーボンフットプリントの低いシューズ「Adizero × Allbirds」を共同開発した。

同社にとってネット・ゼロカーボン・シューズを目指すことは自然な流れで、2022年に社内のイノベーションチームであるAllbirds Futures Teamがこのチャレンジに挑み、ブランドのこれまでの学びをすべて活かしてM0.0NSHOTをデザインし、発表した。

「M0.0NSHOT」が0.0kgCO₂e を可能にするのは、以下の要素になる。

・カーボンネガティブ　アッパー＝ニュージーランドのレイク・ハウェア・ステーション（LHS）において再生型農業で生産されたメリノウールを使用する。

・カーボンネガティブ　ミッドソールフォーム＝石油由来の合成樹脂を主成分とするミッドソールフォームが多く流通しているなか、Allbirdsが新たに開発したSuper Light Foamは、サトウキビ由来の80％のバイオ成分となる。

・カーボンネガティブ　バイオプラスチック＝Mango Materials社と共同開発した、羊のゲップにも含まれる温室効果ガスであるメタンを、微生物の力でプラスチックと同じように成形できるポリマーに変換する革新的なプロセスを採用し、 カーボンフットプリントを削減する。

・パッケージ＝サトウキビ由来のカーボンネガティブなグリーンポリエチレンを使用した真空パックで、輸送に必要なスペースと重量、カーボンフットプリントを削減する。

・輸送方法＝バイオ燃料での海上輸送や、港から倉庫間の輸送時の使用燃料を配慮する。

Allbirdsは、レイク・ハウェア・ステーション（LHS）およびニュージーランドメリノウール社とのパートナーシップにより、製品のカーボンフットプリントを定量化する新しい方法を開拓している。この方法では、 CO₂排出とCO₂吸収する素材やプロセスも考慮し、気候変動に影響する全体のCO₂排出量をより正確に把握できる。つまり、シューズを製造する際にCO₂を排出する要素もあれば、 CO₂を吸収する要素もあり、最終的にはネットゼロになる。

Allbirds Head of SustainabilityのHana Kajimura氏は、「これがネットゼロへの道標となると信じている。完璧を求めるのではなく、前進することが大切。科学者たちは可能性を示してくれた。今こそファッション業界は、M0.0NSHOTにおいてオープンソース化される学びを通じて、前進させる時」とコメントしている。

M0.0NSHOTは、2023年6月にデンマーク・コペンハーゲンで開催される「Global Fashion Summit」で初公開し、本格的な始動が予定されている。