Ｊ.フロント リテイリングは11月13日（水）、コメ兵と合弁会社（JV）の設立に関する合弁契約を締結した。両社は、2025年3月を目途に、JVを設立する予定。Ｊ.フロント リテイリングは、過半を出資し、このJVを連結子会社にする。リユース業界との合弁会社の設立は、百貨店業界では初の取り組みとなる。

同社グループは中期経営計画において、2030年に目指す姿として、3つの共創価値（感動共創、地域共栄、環境共生）の実現、5つのマテリアリティ（暮らしにワクワクをプラスする、地域の活力を高める、環境と共に生きる社会をつくる、価値を共創するパートナーを増やす、多様な人財を輝かせる）の達成に取り組んでおり、サーキュラー・エコノミーへの貢献は重要なテーマと認識している。

これまで、「アナザーアドレス」を中心としたシェアリングや、「エコフ」を中心としたリサイクルに取り組んできたが、リユース事業への参入については、同社グループが目指す姿を体現する新規事業として、2022年から検討を始め、ノウハウやスキルを持つリユース業界大手のコメ兵と、2023年から協業に向けた協議を開始した。

両社は、事業モデルの検証のため、2024年3月から約3カ月間、ブランド品のバッグ、衣服、宝石・時計などの買取店舗を大丸神戸店に出店するとともに、同店の外商の得意先を対象に訪問買取りを実施したところ、想定を上回る多くの買取りが寄せられ、顧客ニーズ、同社グループの優位性、事業の収益性などを確認することができた。そこで両社は、共同で事業を進めるために検討を重ね、今回、JV設立に関する合弁契約を締結した。

同社グループは、これまで顧客に商品・サービスを提供することで豊かな生活に貢献してきたが、リユース事業（買取り）への参画を通じて、顧客と新たな接点を持ち、新たな価値を提供する。また、同社とコメ兵は、今後拡大が予測されるリユース市場に対して、これまで両社が培ってきた信頼を糧に、業界の安心・信頼性、親しみやすさなどを通じて成長に貢献していく。

JVの資本金および資本準備金は6億円（予定）で、出資比率はJ.フロントリテイリング51％、コメ兵49％。買取専門店を、大丸、松坂屋、パルコに展開し、顧客よりリユース品を買取り、買取ったリユース品をコメ兵に売却する。1号店の出店は、2025年夏を予定する。新会社の名称、所在地、その他の具体的内容については、今後、両社で協議のうえ決定していく。