「一般社団法人ASICS Foundation設立記者発表会」に登壇した（㊧から）アシックス廣田康人代表取締役会長CEO、甲田知子常務執行役員（ASICS Foundation理事長）、一ノ瀬メイさん（ASICS Foundation理事）、石川佳純さん（同）

アシックスは4月9日（水）、運動・スポーツに関わる社会問題に取り組み、より多くの人々の心身の健康に貢献することを目的に4月1日に設立した「一般社団法人ASICS Foundation」の設立記者発表会を都内で開催した。

この財団は、社会的または経済的に困難な状況にある青少年、障がい者、女性などに対する運動・スポーツを通した支援を提供する団体への助成などを行う。当面は、日本と事業および生産拠点がある国や地域（ベトナム、インドネシア、インド）での取り組みを予定する。なお、理事長にはアシックス甲田知子常務執行役員が就いた。

発表会でアシックスの廣田康人代表取締役会長CEOは、「アシックスは、‟健全な身体に健全な精神があれかし”を創業哲学に、スポーツを通じて人々の健康とよりよい社会の実現に貢献することを使命としている。またVISION2030では、誰もが一生涯、運動・スポーツに関わり、心と体が健康で居続けられる世界の実現を、目指す姿として掲げている。しかし現実には、さまざまな事情でそうした機会を得られない人が数多くいる。アシックスとして、そうした人にも前向きな力を届けたい。その思いがASICS Foundation設立の出発点になった」と述べた。

さらに「これまでアシックスは、製品やサービスなどを通じて、スポーツの魅力や楽しさを届けてきた。しかし事業活動の枠組みだけでは届かない領域があることも感じてきた。創業から大切にしている思いを、事業活動と財団を両輪にして実現していく。よりグローバルな視点で人々の運動・スポーツへの参加機会を向上させることで、豊かなスポーツ文化を創造し、多くの人々が心身ともに健康でいられる世界の実現を目指す」と語った。

また、甲田知子常務執行役員は、「財団は、スポーツ文化自体が未成熟で、スポーツが身体と心の健康に寄与することが文化として醸成されていない地域に住む青少年や女性、そして障がい者といった、スポーツに関してさまざまな障壁がある方たちの課題に取り組んでいく。初年度は、助成事業を主な活動とし、現地活動団体が実施する社会的・経済的困窮者（青少年・障がい者、女性等）のスポーツ活動を促進するプログラムに助成金を給付する。ターゲットは、障がい者はまず日本、青少年はインド、ベトナム、インドネシア、女性はインドにフォーカスしていく。助成金はソフトインフラ（スポーツプログラムの実施、スポーツ大会やイベントの実施、指導者の育成）、およびハードインフラ（スポーツ用品の提供、スポーツ施設の整備）の両面で給付する」と説明した。

トークセッションには、理事としてASICS Foundationに参画するオリンピアンの石川佳純さん、パラリンピアンの一ノ瀬メイさんが登場。石川さんは「7歳から30歳まで卓球をして、引退後も全国をツアーで回り、スポーツのもつパワーを実感している。スポーツをすることで人生が豊かになるきっかけをつくっていきたい」と述べた。一ノ瀬さんは「スポーツをして目標に向かうなかで自分を知ることができた。ただ、本当の価値を知ったのは引退してからで、スポーツが毎日を豊かにしてくれたことに気づかされた。また、ジュニア時代から健常者と障がい者の大会が別々に行われ、互いを理解する機会がなかった。こうした問題も解消していきたい」と話した。

【ASICS Foundationの役員】
理事長甲田知子（アシックス常務執行役員）▽評議員和泉絵里子（アシックス執行役員法務部長）▽同岸田奈美（作家）▽同増田明美（スポーツジャーナリスト、大阪芸術大学教授）▽理事石川佳純（元プロ卓球選手）▽同一ノ瀬メイ（競泳パラリンピアン、モデル、講演家）▽同井上聖子（アシックスサステナビリティ部長）▽同岐部智恵子（桐蔭横浜大学現代教養学環心理学コース教授）▽同神一世子（一般社団法人パラSCエスペランサ代表理事）▽同花形照美リクルートホールディングス、財団・アートセンター推進部部長）▽監事工藤陽子ソフトバンク社外監査役、JOC・東京2025世界陸上財団監事）▽同鈴木萌（アシックス経理部経理チームアシスタントマネジャー）▽事務局長長谷川雅代（アシックス）