女性に寄り添った商品展開でブランド価値が上がる――“さっと履ける”シューズを定番モデル、晴雨兼用モデルに次ぐ第3の柱に育てる
日本の女性をターゲットに、さまざまなボトムスに合うスタイルを取り揃えている「ルコックスポルティフ」のレディスシューズが、ブランドのプレゼンスを上げている。
デサントジャパンは、ここ数年、日本における「ルコックスポルティフ」のシューズ展開について、ミセスを中心にした既存のファン層に加えて、若年層に向けたマーケティングを行うことで、ユーザー層の拡大を進めてきた。
ルコックスポルティフが、その存在感を高めてきた理由のベースは、「ラ ローラン」「ラ セーヌ」「ラ ローヌ」といった定番モデルが、女性のニーズを捉えて人気を継続していること。加えて、晴雨兼用スニーカーも、ルコックスポルティフの切り札のひとつになっている。“レディスに特化した晴雨兼用モデル”という他のブランドにはない優位性が評価され、価格は通常のモデルよりも少し高めに設定されているものの、メリットを感じられるアイテムとして購入に結びついている。
こうしたなか、定番モデル、晴雨兼用モデルに次ぐ3本目の柱に育成していこうとしているのが、2024年春夏から新たに加わった“さっと履ける”機能を付加した商品群だ。この“さっと履ける”シューズは、靴ベラがなくても足入れしやすい履き口の形状にこだわった機能を搭載したモデル。2024年秋冬新作のラ セーヌ SIは、履く際にシュータンを巻き込みづらい設計にしており、その他の“さっと履ける”シリーズもさまざまな種類があり、急いでいる時でもすぐに靴を履けるという利点がある。
「ルコックスポルティフ」のレディスシューズは、こうした女性のさまざまなシーンに対応する商品構成の充実をはかってきた結果、今年の春夏シーズンもECを始めとする消費者への直接販売(DTC)や靴専門店などでの動きが堅調で、販売は前年を上回っている。
2024年秋冬シーズンはクッション性があり消臭機能も付いた「ラ セーヌ SI」を手に取りやすい価格で提案――さらに“さっと履ける”シューズを広める
ラ セーヌ SI 8360円(税込)/「さっと履ける」「軽量」「消臭機能付きインソール」を備える。サイズは22.5~25.0㎝。2024年秋冬新製品。㊧ブラック/ホワイト、㊥ホワイト/ネイビー、㊨チャコールグレー/チャコールグレー
2024年秋冬シーズンの「ルコックスポルティフ」シューズは、既存のファン層に向けて鮮度の高い商品を届ける施策を実行している。その代表アイテムのひとつが、“さっと履ける”シューズの「ラ セーヌ SI」。
このモデルの特徴は、①踵部を靴ベラのような形状にすることで“さっと履ける”、②ゴム状の紐を採用し簡単に履ける、③後足部に低反発、前足部に高反発の素材を配したミックスクッションインソールでクッション性がある、④インソールに消臭機能を搭載、⑤3E相当のラストでゆったり履ける。
㊧さっと履きやすい履き口の仕様、㊥きれいめデザインのランニングスタイル、㊨ふわっと軽い履き心地
この秋冬の“さっと履ける”シューズは「LCS ロワール」「LCS ロワールSK」「ラ ローラン SI」を含めた複数モデルから選べるようになった
LCS ロワール 9460円/「さっと履ける」「軽量」「消臭」「撥水」を備える。サイズは22.5~25.0㎝。㊧ブラック、㊥ベージュ、㊨ホワイト
今春から先行展開されている「LCS ロワール」は、ミセス層に気軽に“さっと履ける”アイテムとして提案したシューズで、足当たりの良いニット素材を使うことで柔らかく足にフィット。また、上品なデザインを採用することで“大人の女性”のエレガントな装いにもマッチする。アッパーの撥水加工や着脱が簡単なドローコード付きのバンジーレースを採用するなど付加価値を高めたことから、これまでの「ルコックスポルティフ」シューズより少し高め(税込9460円)という価格設定ながら販売が伸びている。
ラ ローラン SI 8910円/「さっと履ける」機能を備える。サイズは22.5~25.0㎝。㊧ブラック/ホワイト、㊨ホワイト/ブラック
「ラ ローラン SI」(税込8910円)は、80年代のテニスシューズをDNAに持つ、軽量性とフィット感にこだわったコートシューズデザイン。男女問わず人気がある定番スニーカーのラ ローランに、“さっと履ける”機能を付加したモデルとなっている。
幼い子どもをもつ家庭に寄り添い“あわただしい外出時にも役立つ”機能として開発――「ルコックスポルティフ」の子ども靴の“履きやすく、履かせやすい”仕様とも連動している
デサントジャパンでは、「“さっと履ける”シューズの機能開発には、幼い子どもをもつ家庭の、手がふさがった状態でシューズを履く不便さを解決することを考えて生まれたという背景があり、この機能の付加は一過性で終わるのではなく当たり前のニーズのひとつになっている」と説明する。同社では、「ルコックスポルティフ」の子ども靴でも“履きやすく、履かせやすい”機能の搭載を進めており、これらはユーザーに寄り添ったブランドとしての立ち位置から生まれたものだ。ただし、レディススニーカーへの“さっと履ける”機能の搭載は、デザインとしての好き嫌いもあると分析し、標準装備ではなく、ひとつのフランチャイズに位置付けて展開していく。