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2024年03月29日

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アシックス、温室効果ガス排出量がわずか1.95㎏ CO₂eと世界最小のスニーカーを開発――2023年から発売予定



アシックスは、温室効果ガス(カーボンフットプリント)排出量を最も少なく抑えたスニーカー「GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95(ゲルライトスリーシーエム1.95)」を開発した。これは同社が掲げる2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた最新の取り組み。このスニーカーの温室効果ガス排出量は、わずか1.95㎏ CO₂e(二酸化炭素換算)で、現時点で製品ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量が開示されている最小の市販シューズ(スニーカーで4.3㎏ CO₂e、ランニングシューズで2.9㎏ CO₂e)より少ない最小となる。


この取り組みは、2010年のアシックスと米国マサチューセッツ工科大学による製品ライフサイクルから排出される温室効果ガス排出量の測定、および温室効果ガス削減に関する分析と改善策に関する共同研究から始まった。そこで得た知見をもとに研究を重ねた結果、製品ライフサイクルにおける4つの主要段階である①材料調達&製造、②輸送、③使用、④廃棄で、温室効果ガス排出量の削減策を特定し、これらを改善することで商品の快適さや品質を損なうことなく、さらに高いレベルのサステナビリティを、温室効果ガス排出量が最小のスニーカーとして実現した。


このスニーカーの温室効果ガス排出量1.95㎏ CO₂eの4段階の内訳は、材料調達&製造で1.33㎏ CO₂e、輸送で0.15㎏ CO₂e、使用で0.03㎏ CO₂e、廃棄で0.43㎏ CO₂e。同社のスポーツスタイルカテゴリーの平均的な数値と比べ、①材料調達&製造は約80%削減、②輸送では75%削減、③使用ではほぼ同等、④廃棄ではより実態を即した数値を反映させた結果、15%増加した。


数々のイノベーションのなかで特に力を入れたのが、削減量の約20%を占めるミッドソールと中敷に使用しているカーボン・ネガティブ・フォームの開発で、サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを配合している。そのひとつがブラスケム社のBio-EVA。フォーム材の軟質化のためにクラレ製のスチレン系熱可塑性エラストマー、セプトンBIO-シリーズを使用している。ミッドソールにセプトンBIO-シリーズを採用したのは、世界で初めて。これらの原料を混ぜ合わせることで、実質温室効果ガス排出をマイナスに保ちながら、履き心地が良く、品質を損なわないフォーム材を完成させた。


主要なアッパーと中敷には、環境負荷の低いソリューションダイで染色したリサイクルポリエステルを使用している。2030年までには100%リサイクルポリエステルに切り替える同社の目標を反映させた。また、アッパーの補強パーツには、廃棄ロスの少ないテープ形状パーツを必要量のみカットし、折り返すなどして効果的に配置。これにより、材料の廃棄を最小限に抑えつつ、フィット性やサポート性を確保した。そのほか、製造工程における再生可能エネルギーの利用、バイオ燃料を使った輸送や委託先工場でのリサイクル施策などがある。


発売は2023年を予定し、今後は他のパフォーマンス商品にも展開していくとしている。「GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95」の足数など、販売の規模感については公開していないが、9月15日の会見でアシックスの廣田康人代表取締役社長CEO兼COOは「履いてもらうことが重要であり、最終的な価格は決めていないが150㌦(2万1000円)程度で提供したい」と述べている。


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