ゴールドウイン、富山・南砺市にオープンする「Play Earth Park Naturing Forest」の全貌を公開――年間100~150万人が訪れるネイチャーパークに

プレスカンファレンスに登場した㊧から高野ランドスケーププランニングの村田周一代表取締役、ガーデンデザイナーのDan Pearson(ダン・ピアソン)氏、ゴールドウイン渡辺貴生代表取締役社長、富山県南砺市の田中幹夫市長
ゴールドウインは、2027年初夏のオープンを目指して創業の地、富山県で開発を進める「Play Earth Park Naturing Forest(プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト)」プロジェクトの概要について、4月25日に明らかにした。東京本社で開催したプレスカンファレンスでは、各施設をデザインした8組の設計者が登壇して、その思いなどを語った。
同社は、富山県南砺市の桜ヶ池周辺の広さ約40ヘクタールの広大な土地を拠点にしたネイチャーパークを、2027年初夏の開業へ向けて開発を進めている。子どもにとって初めての感覚を経験する場として、また大人にとっては喜びの確認、そして新たな気づきを感じる場として、人がそれぞれ持つ価値観の根、“みなもと” を更新するような多様なきっかけを生む場所を目指す。
会見でゴールドウインの渡辺貴生代表取締役社長は、「昨年当社は、新たなパーパスを策定し、‟人を挑戦に導き、人と自然の可能性をひろげる”という言葉を掲げた。当社は2021年、ゴールドウイン70周年の機会に‟Play Earth(地球と遊ぶ)”というコンセプトを立ち上げ、遊びを通してよりよい地球の未来を生み出せるような環境と機会をデザインする事業を進めてきた。Play Earth Park Naturing Forestでは、多様な生物が共生する自然環境を設計して、子どもたちが直感的に行きたくなるようなランドスケープをつくる。それは記憶に残る原体験となって、子どもたちの人生の支えになるものと思う」と挨拶した。
Play Earthのコンセプトを再現する舞台として、同社のルーツである富山県の南西部にある南砺市を選んだ。同市の田中幹夫市長は、「私たちが住む街の8割が山林で、水、自然を大切にする心が宿る街がある。私たちが、エコビレッジ構想やSDGs未来都市を街づくりの中心として取り組んできたことが、今回のPlay Earth Park Naturing Forestにつながったと思う。私たちには、自然を大切にする精神文化として、‟土徳(どとく)”という言葉があり、Play Earth Park Naturing Forestにも多くの人を集められると思っている。ゴールドウインとともに、自然のなかで学ぶ・遊ぶ・何かを得ることが、子どもたちの未来につながると信じてこの事業に取り組んでいく」と述べた。
Play Earth Park Naturing Forestには、①地球との遊びが生まれる「パークエリア」、②地球の不思議を学ぶ「フォレストエリア」、③自然の美しさに触れる「ガーデンエリア」という3つのエリアを展開。この3つのエリアに6つの建築(プラザ棟、展望台/コテージ、パーク、ヴィラ、キャンプサイト、アクティビティセンター)を設計する。
川島範久建築設計事務所が担当する「プラザ棟」は、施設の玄関口となる建築で、パークとガーデンをつなぐ人々が集う拠点としてスポーツアパレルショップを中心にデリカテッセンやマルシェなど、ライフスタイル全般の商品を展開するリビングのような場所になる。また、最小限の素材で最大限の効果を引き出す構造デザインで環境負荷を最小化し、日本初の「Living Building Challenge」取得を目指す。
リナ・ゴットメ・アーキテクチャが担当する「展望台/コテージ」は、自然観察の拠点で、螺旋状の階段を上った最上部からは砺波平野から富山湾までを見渡せ、地下階ではガラス越しに土中の根や虫を観察できる。
萬代基介建築設計事務所が担当する「パーク」は、‟子どもの野性の解放”をテーマに、洞窟や岩山を冒険するような自然の中での遊びが生まれるようにデザインされた遊具建築を設計。
新素材研究所が担当する「ヴィラ」は、南砺市の散居村からインスピレーションを受け、夕日や星空、雨など、時間ごとの美しい自然の表情を眺め、花々や虫、鳥の声に耳を傾けるといった自然の営みに没入する空間をデザイン。
Assemble(アセンブル)が担当する「キャンプサイト」は、富山に根付く農業や工芸、自然との向き合い方を学ぶ、新しいキャンプ体験を提供する。
本瀬齋田建築設計事務所が担当する「アクティビティセンター」は、桜ヶ池の水辺にあるアウトドアでの遊びの拠点。地域の人々が日常的に桜ヶ池を訪れ、遊びや体験を通して地域の自然への理解を深めていくことができる機会を創出する。
Play Earth Park Naturing Forestの運営は、ゴールドウインが2023年に設立した株式会社PLAY EARTH PARKが担当する。渡辺社長は「最低でも年間100万人~150万人に訪れてほしい」としており、田中市長は、「南砺市を周遊してもらう街づくりをしていく。公共交通を整備し、子どもたちが来やすい環境を整える」と話した。