「LEZZA RESILIENCE」プロジェクトから生み出された作品
富田興業と国際ファッション専門職大学は、“食肉の副産物である皮革を余すところなく素材として活用していくこと”を目的とした「LEZZA RESILIENCE(レッザ レジリエンス)」プロジェクトを立ち上げ、12月1~2日に都立産業貿易センター台東館(浅草)で開催された第102回東京レザーフェアの富田興業のブースで作品を披露した。
天然素材であるレザーは、流通の際に原材料に由来する傷やシミなどによって品質が等級分けされる。国内の皮革製造工場(タンナー)では、レザーの原材料である原皮を、A級からD級などの等級に分けて管理している。そうしたなか問題となるのがD級の原皮。多くの革製品のブランドやメーカーは、このD級の原皮からつくられたレザーを、革製品の品質管理の面から使用しないため、流通に乗らずにタンナーに堆積して残ってしまう。
傷やシミのある原材料(レザー)の資源ロスは、皮革業界ではある種のタブーだったが、「コロナ禍を機にサステナブルな取り組みに対する関心がさらに高まるなか、産学が協同することで発信力を高め、あえてこの問題に取り組んだ」という。
富田興業と国際ファッション専門職大学は、2020年4月から「LEZZA RESILIENCE」プロジェクトを立ち上げ、富田興業の社員20人と国際ファッション専門職大学のゼミ生16人が4チームに分かれて、傷やシミのあるレザーの利用方法(商品化)のアイデアを競ってきた。
4つのチームからは、花束の包装革、傷をデザインの一部とした財布、インテリアにもなる猫の爪とぎ、レザーステッカーなどが生み出され、「傷は生きた証、あなたと絆を結ぶ―KIZUNA LEATHER-。」「傷を生かし、行き場のないD級レザーを救いたい」との思いで制作されたLEDライトカバーが最優秀賞に選ばれた。これらの作品は今後、クラウドファンディング等を活用して販売することを考えている。
なお2022年1月27~28日、「LEZZA RESILIENCE」プロジェクトの展示会が、富田興業本社(東京都台東区)の2階ショールームで開催される。
プロジェクト名に使った“LEZZA”は、「サステナブルな皮革への取り組み」を表す富田興業の造語で、“RESILIENCE”は「復元力」や「回復力」を意味する造語。この2つの言葉を合わせることで、「D級の原皮を魅力あふれるレザーとして回復させる」という思いを込めている。