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2022年05月16日

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富田興業、傷やシミのあるレザーを生かす産学連携プロジェクト「レッザ レジリエンス」の展示会を開く――国際ファッション専門職大学の学生が試作品を説明

LEZZA RESILIENCEから生み出された試作品。㊤左から「LEDライトカバー」、「花束の包装革」。㊦左から「藍染の財布」、「インテリアにもなる猫の爪とぎ」と「レザーステッカー」

富田興業は、国際ファッション専門職大学(東京都新宿区)との産学連携プロジェクト「LEZZA RESILIENCE(レッザ レジリエンス)」の展示会を1月に東京・台東区の富田興業本社ショールームで開催し、このプロジェクトに参加した国際ファッション専門職大学の学生が試作品などの説明にあたった。


食肉の副産物である原皮には、動物が生きていた時についた傷や虫刺され痕などが少なからず残っている。皮革業界では、その傷やシミの状況によって等級分けされ、とくに傷やシミの多いD級レザー*は、皮革問屋に活用されないまま保管され、資源ロスをまねいている。

※これまで「B級やC級で残っているレザー」「残っている下物」など曖昧な言い方をされてきた革や原皮を同プロジェクトでは「D級レザー」という呼び方に統一している。

傷やシミのあるレザー

富田興業は、食の副産物である皮の鞣しや染色に、食品加工や製造の現場で生じるワインやお茶柄のボマース(搾りかす)を使う「LEZZA BOTANICA」を立ち上げており、これに国際ファッション専門職大学の平井秀樹教授が着目。学習のひとつとして捉えた取り組みとして始まった。そして、富田興業のスタッフ18人と国際ファッション専門職大学の学生16人が4チームに分かれ、D級レザーを使った試作品の開発にチャレンジした。


製品化に向けて課題となったのが、レザーの傷やシミを「生かすのか」「隠すのか」。LEDライトカバーを開発したチームは、革づくりから参画し、傷やシミを“星”に見立て、コロナ禍で家にいる時間が長いことから寝室用のライトの需要があると考えた。花束の包装革を試作したチームは、革に大きめのパンチングを施すことで傷などを分かりにくくした。プレゼントされた側が花瓶や箱を包むことに再利用でき、廃棄されないものとして提案した。


傷をつけても良い商品とした「インテリアにもなる猫の爪とぎ」、そして厚めの化粧を施して傷を隠し、小さな端材でも使える「レザーステッカー」、さらに敢えて傷をデザインの一部とした「藍染の財布」が生み出された。


これらの試作品のなかからは、メーカーやブランドからの声掛けにより、コラボレーションやクラウドファンディングで市場に出回る可能性が出てきている。富田興業の森田正明営業部部長は「今回、プロジェクトに参加した学生は、サステナブル・ネイティブ世代で、環境への問題意識が高い。当社としても意識改革にもつながり、業界の常識から次に進めるきっかけにもなった」としている。

国際ファッション専門職大学の平井秀樹教授(左端)、富田興業森田正明営業部部長(右端)と国際ファッション専門職大学の学生の皆さん

学生の皆さんにレザーのイメージや「D級レザー」への取り組みについて聞いてみたところ、Aさんは「小物やクラフトはかっこいいと思っていたが、財布や靴は高価なイメージを持っていた。D級レザーの存在は知らなかったが、身近なものがあれば、若い人でも手に取ってもらえると思う」と話す。


Bさんは「ファストファッションが主流の時代を過ごしてきたが、最近ではアフターケアの事も考えて、納得して買うようになってきた」、Cさんは「動物の皮ということで、レザーにはネガティブなイメージもあった。今回、革は食の副産物であることを知り、いただいた命を無駄にしないことがサステナブルにつながるという考えに変わった。D級レザーが抱える深刻さの問題など、革の知識もつき勉強になった」とコメント。


さらにDさんは「私たちにとって、革の傷というのはネガティブなイメージはない。品質に問題はなく、注目されている規格外野菜などと同じもの。説明して伝えられれば商品としても認められると思う。傷ありのレザーが消費者の選択肢に入るようにしたい」と積極的な意見も。


また、Eさんは「今回、タンナーさんから製造現場まで体験でき、革が身近なものに感じられるようになった。革を知れば長く使いたくなり、それがサステナブルにつながると思う」と話す。


「LEZZA RESILIENCE」は、傷やシミのあるD級レザーの再生と活用を目的にしたプロジェクトで、富田興業が企画・展開するサステナブルプロジェクトのブランドネームである「LEZZA」と、“復元・回復・適応”を意味し、D級レザーへの思いを込めた「RESILIENCE」と組み合わせている。


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