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2024年03月19日

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日本皮革産業連合会、皮革・革製品の正確な情報を業界全体で統一発信する「Thinking Leather Action=TLA」事業を推進――川北座長による説明会を開く

「Thinking Leather Action」のリーフレット

「皮革・革製品のために動物を殺している」「革製品の製造をやめれば畜産でのCO2排出が減る」といった誤った情報に対する誤解を解き、革がエコでサステナブルな素材であるという情報を発信

一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)は、皮革・革製品についての誤った情報を収集・分析し、正確な情報を皮革業界全体で統一発信するために、皮革・革製品のサステナビリティを発信していく「Thinking Leather Action(シンキング・レザー・アクション=TLA)」事業を発足し、今年2月から3月にかけて大阪、姫路、豊岡、名古屋、東京の各会場で説明会を開いた。参加対象は、皮革・革製品関係企業の従業員。


3月3日(金)には、東京・浅草の皮革健保会館6階会議室で、TLAの座長である川北芳弘氏(革卸業の川善商店代表取締役)によるプレス向けの説明会が行われた。その概要を紹介する。



2022年度は業界内向けの説明会を開催、2023年以降に一般消費者や学生に向けて発信

TLA事業を立ち上げるきっかけについて川北座長は「3年ほど前、川善商店の得意先のアパレルショップで、『革は動物を殺してつくるんだぞ』と、店舗スタッフにお客が強く発した出来事だった。その時、店舗スタッフ『革を使うことは良くないことと思ってしまった』のだと言う。


一般消費者は、革がどのようにしてできるのかを知らない。そして、「動物を殺して良くない」「環境負荷も高いし、使わない方が良いのでは」と思ってしまう。川北座長は「消費者だけでなく、身近な業界関係者でもしっかりと理解されていない現実があったことから、皮革・革製品のサステナビリティを発信していくTLA事業を立ち上げた」と説明する。


JLIAが行った20代から60代に対する生活者意識調査では、約7割が環境問題に関心があり、9割の人が何らかの取り組みを行っていると回答したが、革に関しては誤解があった。その誤解とは、①皮革・革製品のために動物を殺している、②革製品の製造をやめれば畜産でのCO2排出が減る、③皮革は石油素材に比べて環境負荷が高い、④革の代替素材(ヴィーガンレザーなど)は皮革よりサステナブルである、という4つから生まれている。


①皮革・革製品のために動物を殺しているのか?


答え:皮革・革製品のために動物の命をいただくことはない。


解説:革製品は、食肉の副産物である皮を活用して製造している。川北座長は、「一般消費者で“副産物”という言葉を知っている人も少なく、意識調査では62%の人が皮革が食肉の副産物であることを知らなかった」と話す。さらに、ハイブランドが毛皮を廃止することと、皮革を使わないこととの混同がある。実際には、毛皮を廃止するハイブランドはあっても、皮革を廃止しているブランドはほとんどない。また、そもそも革を得るために家畜を飼育することは割に合わないため、革のために動物を育てることは事業として成り立たない。


②革製品の製造をやめれば畜産でのCO2排出が減るのか?


答え:革製品の製造が畜産計画に影響を与えることはなく、CO2削減にはならない。却ってCO2が増える可能性もある


解説:革製品を使うのをやめると、肉を取った後の皮(牛皮の場合、日本だけで年間約100万頭分、世界では3億2000万頭分)を廃棄しなければならず、焼却や埋め立てのために大量のCO2を排出することになる。また代替素材を製造するために、さらにCO2を排出する可能性もある。誤った情報が著名人により発信され、それが世界で信じられている。


副産物としては皮だけでなく血や骨に至るまで化粧品や医療用、油脂、コラーゲンなどに形を変えて活用されている。皮革・革製品は、人類との歴史・付き合いが長すぎるため忘れられがちだが、世界最古のアップサイクル素材と言える。


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