1年前ぐらいから、入荷したニューバランスは靴紐がアンダーラップになっている
少し前から、「ニューバランス」の靴紐の通し方が変わりました。オーバーラップからアンダーラップになっています。扱われている店舗の方、お気づきですよね。
松永はきもの資料館(広島県福山市)に、双子でマラソン選手の宗兄弟のマラソンシューズが展示してあります。色が違うだけで二人は全く同じシューズですが、紐の通し方は、一人はオーバーラップ、もう一人がアンダーラップ。双子でも違う靴紐の通し方でした。微妙な感覚の好みの違いがあるのでしょうね。
また昔、イチロー氏のスパイクを担当していた責任者のアシスタントが、イチローさんの新しいプロトモデルのスパイクシューズを、それまでと違う紐の通し方で渡してしまいました。イチロー氏がそれを指摘したのが凄いと、担当責任者がTVで言っていました。紐の通し方も大事なことを、その人は理解できていない。イチロー氏は今さらそれ?(汗)、大丈夫なの?と思ったことでしょう。
当店では、昔から紐靴はすべてアンダーラップに通し変えています。靴紐の通し方で履き心地や締めやすさ、緩めやすさが変わるからです。オーバーラップもアンダーラップもそれぞれメリット・デメリットがあります。
激しいスポーツなどに使用するために、少しでも緩まない方が良いということであればオーバーラップがおすすめです。ただし、オーバーラップはひと穴ずつ正確に締め具合を合わせないと、きついところと緩いところの差がモロに出ます。
アンダーラップはオーバーラップより少し緩みやすいですが、多少締め具合にばらつきがあっても良い塩梅に馴染み締めやすいです。また、紐の擦れも少なく耐久性も良いです。だから、当店は基本的にはアンダーラップにしています。
それから…。締め方もとても大切ですよ。靴紐の通し方や紐穴の形状や位置など、トップアスリートはもちろん、シューズ設計者にもこだわりと理論があると思います。展示会がちゃんと再開されたら、シューズ開発関係者にいろいろと聞いてみたいですね!
【松下誠氏のプロフィール】
シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボCue(キュー)」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。