連載【いちがいもんの独り言㉗】古靴回収で商品力と企業イメージ向上!?
「オールバーズ」という新進のシューズブランドが、サステナビリティをうたって話題になっていますね。
ほかにも注目してほしいことがあります。それはシーズンごとの入れ替えに趣をおかず、トップ自らユーザーにリサーチしながら、商品を継続的に細かくアップデートし続けているということ。こっちの方がサステナブルなことかもしれません!?
創始者がバイオテクノロジー関係だけに、OSのアップデートのように当たり前に考えるのでしょうか。しかもデザインはミニマルで少ない品種。ジョブスを見習っているんでしょうね。
それに対して、日本の靴メーカーは自社の大切なロングセラーモデルをアップデートしていますか?ほったらかしにして、新商品という名の類似品を取っ替え引っ替え出していませんか?
食品の老舗の味は、変わっていないようで時代に合わせて変化させていることは、みなさんご存知ですね。
当店でも開店から14年間、モデルチェンジせずに売れ続けている靴が4点あります。当然、履き潰された状態をたくさん見てきました。改善点も見えてきます。売っている現場の生々しい情報を集め、ロングセラーを時代に合わせて少しずつアップデートすれば良いのになぁ、と思います。
そのときに大切なことがあります。営業は現状維持的、それでいて新しい物を出せと言うのが常なので、開発者が振り回されないように決定権限があるトップがフォローすることです。これは新商品開発でも絶対条件です。すでにやっていたらごめんなさい。
ロングセラーとして売り続けたい靴はラベルにでも「履き古し5%還元」(笑)とか書いて、履き古したロングセラーの靴を回収したり、不満な点を集めてみてはいかがでしょう。見えてくることがあるのではないですか?
店舗の割引の名目のための古靴回収ではなく、商品力向上のためにしていることをアピール。その真面目な取り組み姿勢を広告でお客様に伝えると、企業イメージアップ。一石二鳥ではないでしょうか。
近い感覚では、トヨタのコマーシャルが気に入っています。他社は単なる車の売り込みなのに、トヨタは社長自らドリフト運転をしながら、理念や取り組みを子どものように楽しく語っています…、いいなぁ。
「オールバーズ」も、“理念に共感”を売りにしているように感じます。日本に根付くでしょうか!?
【松下 誠氏のプロフィール】