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2021年05月05日

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連載【トレンドを俯瞰する②-私たちは今、どこに立っているか-】スポーツシューズからスニーカーへ

■平成は歴史の移行期だった

前回の東京オリンピック、1964年から55年が過ぎました。その前半の25年位は、ファッションの過剰な消費によって、モノの豊かさへの欲求が解放(カジュアル化)された時代でした。


1988年の西武百貨店の広告で、「ほしいものがほしいわ」というコピーがありました。モノの時代が終わったのです。


個人の自由と生活が大事。プライバシーや人権が優位な社会への移行が始まったのです。それは個人の生活が解放されるライフスタイルのカジュアル化というトレンドの大きな変化です。


市場や社会の環境が刷新される移行期として、1990年頃からの約30年間を考えることができます。


時代が大きく変わるとき、30年位の移行の期間があります。明治維新も、黒船来航の1853年から西南戦争の後、中央銀行(日本銀行)や憲法準備委員会ができるまで約30年かかりました。


平成はまさに歴史の移行期でした。


■ライフスタイルのカジュアル化はラクチンで快適を求める

1990年代になって、自分の日常ふだんとココロとカラダの解放が優先する流れがはっきりと見えてきました。


百貨店アパレルの低迷とユニクロの台頭。オーツカ家具よりもニトリ。


そしてラクチンで快適を求める消費者が瞬くうちにスポーツ、競技の道具、スポーツシューズを勝手に街で履くようになったのです。靴といえば、革靴のことではなくなったのです。


現在、靴の市場でダントツの地歩を占めるエービーシー・マートもまさにこの90年代にスポーツシューズによって台頭したのです。


この靴の歴史を大きく変えた背景には、ラクチンで快適というライフスタイルのカジュアル化があったのです。


■スニーカーがライフスタイルのカジュアル化をリードした

時代の節目の前半は、新しい流れをつくるカジュアル化が際立ちますが、後半になるとカジュアル化は広くすみずみまで浸透します。やがて次の流れをリードする新しいカジュアル化が見えてきます。


1990年代のスポーツシューズのビッグなカジュアル化は、やがて訪れるライフスタイルのカジュアル化への移行期を象徴していました。


2002~2003年になるとスポーツシューズは沈静化し、カジュアル化の勢いは広まり浸透し、さまざまな新しい流れを生みました。


レディス市場で、スポーツシューズにヒール感をデザインしたものが登場しました。スポーツシューズが街の生活にふさわしいスニーカーになったのです。


私は2020年頃には移行期が終わり、ライフスタイルのカジュアル化の時代が本格化すると考えていました。そしてその予兆として、2015年頃にスポーツシューズからスニーカーへの大きなターニングポイントとなる動きを予期しました。(メディアや講演で発表)。


2014年にミラノやパリのコレクションで有力なメゾンが一斉にスニーカーを取り上げたことで、日本の市場にも大人の女性たちのスニーカーが生まれました。彼女たちこそ、経済力とファッションにも目の肥えた女性の市場に強い影響力をもつユーザーです。


私の予想より1年早く始まった今回のスニーカーブームは、こうした流れの中で位置づけることができます。


百貨店に進出したスポーツシューズのメガブランドが、期待はずれに終わっているのも理解することができます。


メンズ市場よりはるかに大きな広がりを持つレディス市場への期待が広がります。移行期はスポーツシューズからスニーカーへの節目だったのです。


【筒井重勝氏のプロフィール】

大学卒業後、出版社勤務を経て広告制作やマーケティングなど、クリエイティブな仕事に携わり、その後タカキューの商品本部長、丸紅・物資部で皮革に関するアドバイザーなどを歴任。この経験を活かし、1971年にジャパン・レザー・ファッション・インフォーメーション・センター、通称JALFIC(ジャルフィック)を設立。2009年からアイコニックスシステムを主宰し、社会学などを通してシューズ業界を新たな側面から見つめ直すという研究に取り組んでいる。

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