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2021年06月12日

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連載【いちがいもんの独り言②】「日本にもええ靴はあるんや!」

10数年前のある日、役員から行列のできる靴屋が大阪にあるので、調査するよう指示を受けました。その店主さんは、靴小売業界の中でもオピニオンリーダー的な存在の方で、私も昔からよく知っていました。しかも社会人になって初めて訪問した店です。不思議な縁ですね。


ただ、暫くお会いしていない間に店は大きく変化していました。店内はお客様でごった返していて、さながら戦場のようでした。驚いた私は丸1日へばりついて観察させてもらいました。販売しているのは特に珍しい靴でもなく、また中敷にもこだわっていません。


ところが、そこで学んだことは靴業界がなおざりにしているとても大切なことでした。それは間違った靴の選び方、履き方で起きているであろう問題を丁寧に説明し、正していく方法を本気で指導していることでした。


皆さん、そんなことはわかっていると言われるでしょう。しかし、本当に徹底されていますか? そしてお客様に心から納得していただいていますか? 楽に売ることばかり考えていませんか?


このお店では、さらに歪んでいる足の骨格を靴で立体的に整えることを指導していました。さらに、その状態でウォーキングをしてもらい、身体を整え、代謝を上げてもらっていました。正直、手がかかります。その割に高価な靴やオーダー中敷ほど単価は上がりません。見識も心構えも必要です。それでも暗い表情で来られたお客様が、嬉々とした顔に変わるのを目のあたりにするのは嬉しいものです。その光景は本当に驚きでした。


「何でもかんでも足が痛いのを靴のせいにしたらアカンで。日本にもええ靴はあるんや!」――その一言、今でも思い出します。


知識と実践の大きな差、このような店は少数派です。これが靴業界の現実。私たちが自慢の靴を作っても、このように販売できないとお客様のためにならない…。じゃあ、どうすれば良いんだ? 悩んで私が出した答えが靴屋になることでした。


【松下 誠氏のプロフィール】

シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でコンフォートシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボキュー」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。


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