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2024年10月07日

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連載【いちがいもんの独り言60】“接客しないと売りにくい靴”の必要性をつくる側も売る側も理解してほしい

“履いて歩いて快適な靴たち”

先日、久しぶりに大阪府の師匠の靴店に行きました。


最寄りの住道駅周りにあった3〜4店の靴専門小売店が、ここ1年ほどの間にすべて廃業したとのこと。さらに、近くの量販店も最近リニューアルを機に靴売り場を廃止したとのこと。靴小売店の減少はよく分かっているつもりでもここまで急激とは(・_・;)。私の地元の自前靴問屋もついに廃業。靴専門小売店はもはや絶滅危惧種!ヤンバルクイナかイリオモテヤマネコか!?


何が問題なんでしょうか? ネット販売や安売りに巻き込まれるから? それは影響大でしょうが、手間をかけず安易に売ろうとするのもあるのではないですか。当店で売れている(いや、売っている)のは、“脱ぎ履き楽ちん”とか“柔らかくてゆったり”ではなく、“履いて歩いて快適な靴たち”です。納得していただくのに手間がかかりますが、リピート率は高いです。


その靴たちは、中国地方では扱い店舗すらほぼほぼないそうです(汗)。これでは、近いうちに廃番になっていくかもしれません(涙)。このような、まじめで“当たり前の靴”が意外と無いんです。


私はスポーツシューズが好きですが、この“履いて歩いて快適な靴たち”は継続販売していてもスポーツシューズのような値崩れが無い。だからネットで買ってもメリットナシ! このような靴を扱っていない、売れないというのが靴専門店衰退の要因のひとつではないでしょうか。このような靴は根気強く継続してほしいですね!


靴は、服飾品だけの位置付けではないことを重視しなければいけません。「靴は薬代わり」という医師がいるくらい、靴は身体に影響を及ぼす道具なのに、売り方が無責任過ぎない? 取扱いに注意が必要なコンセプトの靴も、ただの流行り廃りで売っている怖さ知らずの無知。怖さを知らず売っていも、日本なら済むかもしれないけど、訴訟大国だったら…あぁ〜怖いです。


話が右往左往しますが、靴業界とお客様両方に価値あるビジネスにするにはどうすれば良いのでしょう( ˘ω˘ )。目先の売りばかり重視していては若い人たちはこの業界に来ない。今、生き残っている靴専門小売店は何に注力しているのか、どんな商品を望んでいるのか等、靴専門小売店のSNSの広場があるととてもいいのに。


とくに、接客でお客様の足と靴をしっかり診ている“小売店オーナーの集まり”があるとおもしろい話になるかも(シューズポストが進行役とか!)。“お客様の喜ぶ顔が見たい”と“そろばん”の両立が会話の中心になるだろうから。メーカーの柱となる人たちはオブザーバーで関われば、自社製品の強み弱みなど、居ながらにしてダイレクトな情報が得られる。さらに、“足と靴”に詳しい医師の方がオブザーバーにいると、とてもありがたい。


そのようなSNSグループがあれば、いい靴を作る能力があるA社やMS社などには、昔のオピニオンリーダー会より、生きた情報になりますよ。小売店もこのような靴を売る気になるでしょうし。“接客しないと売りにくい靴”の必要性を、メーカー経営層にも靴専門小売店にも理解してもらいたいですね…。


【松下誠氏のプロフィール】
シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボCue(キュー)」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。


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