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2024年12月11日

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アシックス、サーキュラーエコノミー実現に向けた新たな取り組みとして廃棄予定のシューズを原料に用いたスニーカー「NEOCURVE(ネオカーブ)」を欧州限定で発売

シューズの回収、分解・粉砕・材料化、生産イメージ

アシックスは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、デッドストックなど、これまで廃棄していたシューズを原料に用いたスニーカー「NEOCURVE(ネオカーブ)」を新たに開発した。


この商品は、一方的に消費され、廃棄されるリニアエコノミーからの脱却の一歩として、廃棄予定だった製品から新しい製品をつくり、スポーツやファッションをより楽しめるサーキュラーエコノミーを実現するプロジェクトとして展開するもの。アシックス製シューズのデッドストックを始め、サンプル品や自社規定をクリアせず販売できなかったものなどをリサイクルし、材料の一部として活用したのが特徴。シューズの回収から解体、材料化、デザイン、製造、販売までをヨーロッパ圏内で行うことによって、CO₂排出量の削減にもつながっている。


使われなかったこれらのシューズは、同社が提携するオランダに拠点を置くシューズリサイクルの大手、Fast Feet Grinded社によって独自技術を駆使して分解され、フォーム材、ゴム、繊維、皮革、金属、その他材料に分けられる。各材料は、シューズに求められる強度や耐久性などを満たした品質となるようテストを繰り返し材料化され、アッパー、靴底、ミッドソール、中敷などに採用している。シューズを再生した材料は、シューズ全体の約15%に使用しており、一般的な再生材料を含めた再生材料比率は全体で約25%となる。


商品名は、新しい(NEO)生産方法であるサーキュラーエコノミーの実現に向けたシューズであり、既存のリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ転換するポイント(CURVE)となるシューズにしたいという思いから名付けた。デザインは、オランダのデザインハウスであるStudio Hagelとコラボレーション。2000年代初期におけるシューズのアーカイブを現代にあわせてアップデートしており、靴底を厚めに設計しながら、グレーやシルバーを基調に流線形を施したメタリック調に仕上げている。この商品は、スポーツスタイルカテゴリーで、11月1日からヨーロッパ限定で発売した。メーカー希望小売価格は、250ユーロ。


アシックスは、よりサステナブルなモノづくりを実現すべく、シューズの物理サンプル製作の削減を目指してデジタルツール「3D Shoes Viewer(スリーディーシューズビューワー)」を開発し、デジタル技術を活用し生産数を最適化するなど、限られた資源の有効活用に努めている。今回は、そのような中でもやむを得ず発生してしまう、使用されずに廃棄予定となったシューズに着目し、再生すべく企画した。


開発にあたっては、サプライチェーン全体でのCO₂削減なども考慮し、シューズの回収から「NEOCURVE」の生産、販売までを、外部企業とも連携しながらヨーロッパのみで実行できるようにした。多くのスニーカーやスポーツシューズは複数の材料で構成されており、それらを分解・粉砕・材料化し、新たにスニーカーやスポーツシューズを製造することは難しいとされている。今回取り組んだ、廃棄予定のさまざまな種類のシューズを分解・粉砕・材料化し、それをスニーカーに活用している事例は、スポーツブランドでは初めて(アシックス調べ)になる。


今後は、サーキュラーエコノミーの実現に向けた新たなモデルとしての有効性を検証しながら、ヨーロッパ以外での開発の可能性を模索し、リサイクル材料の他の産業における利用なども検討していく。


アシックス村岡秀俊サーキュラーエコノミー推進部部長は、「今回のプロジェクトは、捨ててしまうものから新しいものを作ることができるかというシンプルな疑問から始まった。アシックスでは、最適化された生産、デジタルサンプル、製品の寄付プログラム、NIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)の開発など、廃棄物を極力減らす取り組みに尽力しているが、一部の製品はユーザーに渡らないままになっている。NEOCURVEの開発により、これらの製品に再び光を当てて第2の人生を与えることができる、ということが証明された。今後も、循環型モノづくりのために何ができるかを検討していきたい」とコメントしている。


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