
静岡ブルーレヴズのホームゲームでファンから寄贈された各種スポーツ用品(㊧清原祥さんと㊨吉沢文洋さん)
ヤマハ発動機は、グループ会社のジャパンラグビーリーグワン静岡ブルーレヴズと連携し、ファンから使わなくなったスポーツ用品等を試合会場で集め、アジアやアフリカの集落に届ける社会貢献活動「Blue Ties(ブルータイズ)」を2023年4月から展開している。
同社は、水道設備のない集落向けの小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム(YCW)」の普及を担い、アフリカの大地に足繁く通っている。仕掛人のひとりである同社海外市場開拓事業部(OMDO)の岡部紀彦さんは、「対戦相手のファンが訪ねてこられて、ウェアを提供してくれたこともある。非常に嬉しく、活動のひろがりも感じた」と話す。
集まった用品類は、岡部さんらの手によってYCW設置地域に届けられている。一昨年からスタートしたこの取り組みにより、賛同するファンから寄せられたウェアやシューズ、ボール等は合わせて1410点。これらは、YCWの設置や点検、メンテナンスの際に現地に届けられ、ブルーレヴズの選手やOBも同行してラグビー教室なども行われている。昨年12月21日、新シーズンの開幕戦でも専用ブースで用品を募り、564点が集まった。
昨年12月、ケニアの3つの集落を巡回し、日本から運んだスポーツ用品を届けたのは、ブルーレヴズOBで同社社員の清原祥さんと吉沢文洋さんの2人。ケニアでは近年ラグビー人気が高まっているとはいえ、「ペットボトルをボール代わりに練習することもあると聞いたし、実際、整備されていないグラウンドで、裸足やサンダルのままボールを追いかける子どもたちもたくさんいた」と吉沢さんは話す。
2人は帰国後、12月21日のシーズン開幕戦(ヤマハスタジアム)で、「皆さんの理解・協力によって集まった用品が、いかに現地で役に立ち、喜ばれているのか、写真や動画で報告した」という。
「安全な水」へのアクセスは、国連が掲げる持続的な開発目標「SDGs」の目標6にも掲げられる重要な課題の1つ。現在も世界で22億人以上の人が水道設備のない暮らしをしている。岡部さんは「スポーツと水は、切っても切れない関係にあるもの。汗を流して、きれいな水をごくごく飲んで、安全・安心な水への関心をますます高めてほしいと願っている」と話す。すでに設置されたYCWは、アジアやアフリカを中心に55基を数える。
同社広報グループの徳留弥生さんは、「昨年12月にスポーツ用品の寄贈でケニアに行った清原さん、吉沢さんからは『現地の子どもは初心者でも体をバンバンぶつけてラグビーを楽しんでいた』と、寄付されたウェアや靴を履いて生き生きと運動する子どもたちの様子も語られた。日々の生活に追われる現地には、あまり娯楽がないという。Blue Ties活動がもっと広がり、必要な物が必要な人に行き届き、現地の生活がさらに豊かになるように願う」と話している。