ベトナムは、世界の靴生産のメッカであり、岡畑興産の靴受託のホームグラウンド。そのベトナム、ホーチミン市が今回の震源地。
2021年7月中旬、首相のロックダウン指示により、不要不急の外出禁止、公共交通機関の停止、飲食店の営業停止が始まりました。通勤も生産も許されているはいるものの、工場の操業停止につながっていくロックダウンの始まり。
靴工場は典型的な労働集約産業で、大規模工場となると3~5万人もの工員が就労しています。感染が出た地域からの従業員の出勤は禁止されますので、人流を止めるのがベストと判断し、従業員を工場敷地内でテントに宿泊させ、労働力の確保を図りました。
“動くな、ここにいなさい、そして稼働を続けましょう”式で始まった、ロックダウンの中の生産ですが…。想像してみてください、何万人もテントに詰め込み、通勤させずに操業を続けるのには、無理があります。従業員の衛生上にもよくないですし、密の中で感染リスクも高まります。結局、この対応は長くは続かず、すべての靴工場が休業に追い込まれ、従業員のすべてが自宅待機もしくは地元に戻っていくこととなりました。
当社のパートナー靴工場はハイフォン(ベトナムの北東)に位置しており、南のホーチミンから遠く離れているので操業停止は免れましたが、影響ゼロというわけにはいきません。一部の原材料はホーチミンのメーカーから調達しており、特にソール成型品などは入荷されず、製品を作りたくても作れない。従業員も確保し、生産準備は万端。なのに、作るための材料が届かない、という状況が続きました。