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2024年03月29日

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連載【いちがいもんの独り言㉝】「靴は万病のもと⁉︎」(処方を間違えれば毒になる)

福山市松永名産だった下駄づくりが70年代にはケミカルシューズづくりになり、地下足袋メーカーがゴム履物メーカーになったりと、日本人の履物が草履や下駄から靴という西洋の履物になって久しいですが…。


残念ですが、靴の選び方や履き方の意識については、大多数の方が下駄や草履の時代と変わっていないようです。


お客様の言う「履きやすい靴ください」とか「楽な靴ください」の意味を聞いてみると、ほとんどが「脱ぎ履きが楽な靴」。下駄や草履のように、手も靴ベラも使わないで履けること。


しかし、よくよく聴いていくと、ほんとうのニーズは足や脚腰が楽で歩行が快適なこと。


足を解放して最小限の固定で履く東洋の履物と、足をクローズして足趾以外の殆どの部分をフィットさせて履く西洋の靴…、同じ「履物」でも、考え方が全く異なるんだから選び方も履き方も全く異なる。


柔らかくてゆるゆるの靴をズボっと履くことが根本的な問題なのに、効率最優先の販売方針が多くの靴難民をつくっている。


(下駄も良いのは鼻緒が低くてズボっとは履けないのですが、最近の鼻緒サンダルなどはズボズボで鼻緒が緩いもの多くなっている。これは、「脱ぎ履きが楽な靴」と同じような発想ですね…残念)。


どうしたらお客様に根本的な問題を自覚してもらい、改める気になってもらえるか…。そこは売る側も日々鍛錬です。


「靴は薬代わり」と言うお医者さんもおられます。それは、靴も処方を間違えれば毒になる、用法(履き方)を軽んじても毒になるということかな、って思います。


似たような意味で、うちのチラシの見出しは「靴は万病のもと⁉︎」(NHK朝イチより)です。


以前、医療機関主催の講演で、主催者から、靴屋さんが「靴は万病のもと⁉︎」って表題にして大丈夫ですか?って心配していただきました。しかし、表題はインパクトがある方がいいですよね!


足元が快適になれば、足腰の負担も減り、運動量も増えて、医療費削減とQOLアップの貢献になると思うのですが…。


「靴は浸透したが、靴文化の伝道師がまだまだ少ない(汗)」。靴文化の伝道師が津々浦々まで増えますように!


【松下 誠氏のプロフィール】

シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でコンフォートシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボキュー」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。


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