賞を受賞したAshiraseの千野渉代表取締役(前列左から4人目)とGATARIの竹下俊一代表取締役(同5人目)。後列左から3人目が参天製薬の森田貴宏氏(授賞式で)
参天製薬、日本ブラインドサッカー協会、インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーションの3者は、「“見える”と“見えない”の壁を溶かし、社会を誰もが活躍できる舞台にする」というビジョンのもと、2020年に視覚障がいの有無にかかわらず誰もが当たり前に混ざり合う共生社会の実現を目指したパートナーシップ契約を締結した。
このパートナーシップでは、①共体験でそれぞれの個性や強みを理解する、②“見える”に関するイノベーションを創出する、③視覚障がい者のQOL(Quality of Life)を向上する、という3つのゴールを設定し、2021年4月からさまざまな活動を「VISI-ONE(ビジワン)」プロジェクトとして展開している。
その一環として、“見える”に関するイノベーションを追求し、視覚障がいに関わる“壁”を溶かす新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONEアクセラレータープログラム」を企画し10月14日(金)、このプログラムに採択された企業6社による事業アイデアの実証成果を発表するデモデイが都内で行われ、オンラインとオフラインで163人が参加した。
冒頭、参天製薬森田貴宏執行役員Global Head of Core Principle & People Centricityは、次のように挨拶した。
「参天製薬は、“目のスペシャリティカンパニー”として、創業130年を超える歴史のなかでさまざまなことにチャレンジしてきた。長期ビジョンであるSanten 2030のなかでは、世界中の1人ひとりが、“見る”に関する最高の体験を通じて、それぞれが最も幸福な人生を実現することを掲げている。
そして、それを実現するための方法として、まず、全世界60カ国以上の国や地域に対して製品やサービスを提供していくこと。目の健康の重要性とそれを守ることに対する支援をしていくこと。そして視覚障がいにかかわる人々が交じり合って生き生きと共生していく社会をつくっていくこと、を実施している。
世界的に目を酷使する時代が始まっており、WHOは世界には22億人もの目に不自由を感じる人がいると発表している。参天製薬としても、製品やサービスを通じての課題の解決に加え、インクルージョンによるアクティビティに本気で取り組んでいる。そのひとつが、VISI-ONEアクセラレータープログラムで、10年間のパートナーシップで課題に向き合っている」
デモデイで発表を行ったのは、Ashirase(内容:靴に挿入するデバイスで行き先を知らせる歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」)、GATARI(MR技術を活用し、音声と現実が融合しているかのような体験システム)、クラスリー(AIを活用し人が話しているような高品質の合成音声を作成)、コンピュータサイエンス研究所(iPhon用のアプリを活用したAIによる歩行支援)、MAMORIO(忘れ物防止タグ技術を活かした飲料の自動販売機ナビゲート)、リンクス(点字ブロックにQRコードを設置し、目的地まで誘導する)の6社。
審査の結果、アイデアの独自性や新規性、短期間での成長性と社会実装への実現性が審査基準の「Business Innovation Award」に「Ashirase」、視覚障がいに関する課題への理解および中長期的な視点からの共生社会の実現性が審査基準の「Social Innovation Award」に「GATARI」が選出され、2社には各300万円の賞金が贈呈された。また、その他4社にも賞金各100万円が贈られた。
※靴に装着するデバイスによる歩行ナビゲーションシステムを開発したAshiraseについては、別途詳細記事の公開を予定しています。