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2021年03月09日

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連載【トレンドを俯瞰する⑤-私たちは今、どこに立っているか-】カジュアル化が大人の女性スニーカー市場を生む

■カジュアル化はどう広がったか

90年代のナイキに象徴された大きなカジュアル化の波は、2002~2003年頃にやや沈静化しつつも市場全体に広まり、浸透していきました。


レディース市場のヒールパンプスはそれまでも減少を続けていましたが、この頃からローファーが目立って増えてきました。数年してドライビングが続き、次にはバレエがロングセラーになります。最近ではこれに甲ベルトのメリージェーンやマニッシュが加わります。


おしゃれでエレガントなパンプスを履いていた大人の女性も、カジュアル化が進み、ラクチンで快適を求めます。しかし男の子が履いているスポーツシューズは履けません。


彼女たちはヒールパンプスの拘束感から解放されたものの、スポーツシューズではなくおしゃれできちんとした女性に見える低いヒールの靴を選んだのです。


20年近く続いたこの流れはファッションではなく、カジュアル化によるものでした。


■2014年に始まった女性のスニーカー維新

2014年にパリとミラノのプレタポルテのコレクションで世界のメガブランドが一斉にスニーカーをデビューさせました。


世界のメガブランドたちも、カジュアル化の大きな流れの中でスポーツシューズの力の大きさをわかっていました。それを取り入れてブランドを時代にふさわしいものにしたのです。


ラクチンで快適なスポーツシューズのモノづくりにブランドにふさわしいエレガンスや品格を表現することで、レディースシューズのカジュアル化が大きく広がる可能性が生まれたのです。


それまでにもスポーツシューズのソールで、カジュアルかつイージーなものをスニーカーと呼んでいました。しかし大人の女性がパンプスの気分で履けるものではありませんでした。


スポーツシューズは競技のためのもので、設計もバランスも競技の道具の枠組みを超えられません。ナイキやアディダスにバレエもメリージェーンもローファーも存在しないのです。


2014年というエポックを機に、百貨店の婦人靴売り場の有力ライセンスブランドにパンプスと並んでスニーカーが加わるようになりました。スポーツシューズとは一線を画したパンプスの気分で履けるエレガントなスニーカーです。


こうしてレディース市場にスポーツシューズの「ラクチンで快適」を備えた大人の女性のスニーカーが生まれたのです。


■スニーカーはさらに進化する

レディース市場を俯瞰すると、若い女性はスポーツシューズ。ラクチンで快適で実用本位のスニーカーは、おしゃれをリタイアしたシニアたち。


革であれ他の素材であれ、市場全体では靴が多いことに改めて気づくのです。そこにはローファーに始まる、低いヒールの革靴の流れがあります。


女性にとっておしゃれでエレガントに見えることが大事なのです。


おそらく今後5年位の間にパンプスと、20年近く続いたこの革靴の流れの30%程度は大人の女性のスニーカーに変わるのではないでしょうか。


それにはスニーカーがブランドとしての形を整えること、さらに市場にふさわしい価格政策を備えることが条件です。


しかしスニーカーは、カジュアル化という大きな流れの通過点です。


「ラクチンで快適」は「カンタンでベンリ」へと広がります。それはカジュアル化と並行して進んだデジタル化のトレンドでもあります。21世紀のトレンドです。


ライフスタイルのカジュアル化が求める進化する生活の道具として、スニーカーは進化します。


【筒井重勝氏のプロフィール】

大学卒業後、出版社勤務を経て広告制作やマーケティングなど、クリエイティブな仕事に携わり、その後タカキューの商品本部長、丸紅・物資部で皮革に関するアドバイザーなどを歴任。この経験を活かし、1971年にジャパン・レザー・ファッション・インフォーメーション・センター、通称JALFIC(ジャルフィック)を設立。2009年からアイコニックスシステムを主宰し、社会学などを通してシューズ業界を新たな側面から見つめ直すという研究に取り組んでいる。

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