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2021年03月01日

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連載【トレンドを俯瞰する⑥-私たちは今、どこに立っているか-】女性不在の体質を考えることが重要に

■成功体験が世界をつくった

90年代のナイキに象徴されたスポーツシューズのブームを契機に成長し、現在に至った企業は多い。そうした企業で、紳士靴を含めて男の市場には強い自信と意欲をもっているのに、女の市場にはまったく消極的な企業が少なくありません。


スポーツシューズがもともと男の世界で、そこで頑張って成功したことで、女の市場は関係ないもの、女性の気持ちやライフスタイルに無関心な企業になったのでしょうか。


しかし、UAもビームスも創業期のセレクトショップは100%男の洋服屋でした。今は売り場の半分は女の洋服屋になっています。創業者の重松さんも設樂さんも、そして当時の社員たちも洋服が大好きなファッション少年が洋服屋になったのです。彼らは洋服屋になって服が好きになったのではありません。


彼らは洋服を通じてヨーロッパやアメリカの生活や文化に憧れたのです。だから洋服だけでなく、服飾雑貨からインテリアそして飲食まで広がり、女性のライフスタイルにも自然に目が向けられたのです。


■モノが優先するシューズの世界

革靴もスポーツシューズも、靴屋は商品として親しみ、経験を重ねてプロになります。靴は洋服に比べてモノづくりから店頭まで、洋服よりもはるかに高い専門性が求められます。モノに精通することで、プロになります。極論すればモノがすべてになります。


時代が大きく変わるとき、市場は時代を俯瞰することでしか見えてきません。市場経済が成熟し、個人の生活が優位のトレンドがいよいよ本格化するとき、モノだけから次のモノは見えてきません。


■なぜ女性がトレンドなのか

政治に経済にあらゆる分野で、女性の活動を期待する動きは世界的な流れになっています。そして日本は、その後進性が強く言われています。


 

その日本でも、この半世紀の女性の変化は予想をはるかに超えています。


 

女性が柔道、ボクシング、野球といったスポーツに進出。さらに新幹線も山手線も運転する。裁判官も消防士も植木屋もめずらしくありません。


ライフスタイルでも、ジーンズもTシャツもダウンも男のものでした。男の領域が確実に女に侵されています。しかし、男はまだ男が優位に立っていると思っています。


女が決定的に優位で、男はその川下に立たざるを得ないものがあります。消費の7割が女性の手によるという見方があります。市場経済が成熟し、生活消費への依存が明らかになるとき、この7割の力は圧倒的です。そこには確かな経験と知恵が蓄積されているのです。


■50~60代女性は消費のプロ

50代から60代の女性は消費のプロと目されています。バブルの時代のモノ余りの豊かな消費を経験し、その後の成長が期待できない時代に生きて、自分なりの豊かな生活をめざして多くの体験をしてきたに違いないからです。


ところで、彼女たちが履く靴は誰が考え、誰が商品化を決め、さらにその事業を経営しているのでしょうか。


男のビジネスマン、男の経営者はどうやって彼女たちが望むラクチンで快適でおしゃれな靴が分かるのでしょうか。大手の金融も商社も、女性の役員が珍しくない時代に業界は川上から川下まで徹底した男社会です。役員はもとより管理職も稀です。


市場をリードし、需要を創出する存在として女性が間違いなくトレンドなのです。


【筒井重勝氏のプロフィール】

大学卒業後、出版社勤務を経て広告制作やマーケティングなど、クリエイティブな仕事に携わり、その後タカキューの商品本部長、丸紅・物資部で皮革に関するアドバイザーなどを歴任。この経験を活かし、1971年にジャパン・レザー・ファッション・インフォーメーション・センター、通称JALFIC(ジャルフィック)を設立。2009年からアイコニックスシステムを主宰し、社会学などを通してシューズ業界を新たな側面から見つめ直すという研究に取り組んでいる。

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