三陽商会、紳士靴「三陽山長」で障がいのある若者の靴磨き・靴修理職人育成支援のためのプロジェクトを始動――履かなくなった「三陽山長」の寄付を募る
三陽商会が企画・販売する紳士靴ブランド「三陽山長」は、革靴をはいた猫(京都市中京区)と提携し、障がいのある若者を靴磨き・靴修理職人として育成する「三陽山長をはいた猫」プロジェクトをスタートする。
プロジェクトの第1弾として、12月16日(金)~2023年1月31日(火)の期間、「三陽山長」の直営4店舗(日本橋髙島屋S.C.店、東京ミッドタウン日比谷店、玉川髙島屋S・C店、ミッドランドスクエア店)において、履かなくなった「三陽山長」の革靴の寄付を募り、集まった革靴を靴磨き・靴修理の修練用として、革靴をはいた猫へ提供することで、職人育成を支援する。対象製品は、「三陽山長」のグッドイヤーウェルト製法の革靴(サンダル、スニーカー除く)で、寄付目標は100足。寄付特典として「三陽山長」直営店で使用可能な3300円相当のリペアチケットを贈呈する。
そして、今後はサステナビリティ推進の観点からも、今回の取り組みを検証し、寄付された「三陽山長」の革靴を、革靴をはいた猫の職人が手入れをしたのち、一定の品質基準を設定したうえで、革靴をはいた猫を通して認定中古靴として新たな顧客に受け継いでいく仕組みも検討していく。
上質な素材を使い丁寧な技術でつくられた革靴は、正しい手入れを続ければ20年以上でも履き続けることができる。「三陽山長」は、これまで日本の高い技術力を活かし、長く受け継がれる革靴をつくり販売してきた。そうしたなか、年齢や生活スタイルの変化によって“履く機会がなくなった”という顧客もおり、愛着ある履かなくなった革靴を処分せずに保管している、といったケースもあった。
また、障がいある若者たちを靴磨き・靴修理職人に育成している革靴をはいた猫においては、職人になるための修練にはさまざまな形状・素材・色・状態の革靴を数多く手入れする経験が欠かせないものの、より高い技術が求められる高級な革靴を磨く機会は限られてしまうという課題があった。
そこで両社が提携し、三陽商会が顧客に不用となった「三陽山長」の革靴の寄付を募り、革靴をはいた猫に修練用として提供することで、「三陽山長」の靴のライフサイクルを拡げながら、障がいのある若者の一流の職人としての経験を積む機会を増やす、という2つの社会課題に貢献することを目指す「三陽山長をはいた猫」プロジェクトを立ち上げることになった。
プロジェクト担当者で、三陽商会事業本部コーポレートブランドビジネス部コーポレートブランド課の猿渡伸平課長は「2001年のブランド立ち上げ以来、三陽山長は日本の革靴職人たちと連携し、長く愛される上質な一足をつくり続け、累計10万足近い革靴を送り出してきた。お客様からは、履かなくなった革靴を“売りたいわけでもないが捨てるのは忍びない”といった声を多数いただいていた。そこで、大切にしていただいている三陽山長の革靴を責任を持って引き取り、靴磨き・靴修理職人の育成に活かしていくことで、三陽山長にとっても“長く受け継ぐ靴づくり”のコンセプトに沿いながら、社会貢献にも繋がるトレードオンな取り組みにしたいと考えている」とコメントしている。
一方、革靴をはいた猫の魚見航大代表取締役社長は、「私たちはこれまで、社内で技術を高め合いながら、お客様が大切にされている革靴を磨いてきた。一人前の職人になってからは高級な革靴を扱う機会もあるが、職人の育成段階においては、その経験を積ませることが限定的にならざるを得ない課題があった。今回のプロジェクトによって、その経験を積むことができることはもとより、新たな広がりが生まれる可能性に期待している。そして、三陽山長としての厳しいチェックを受けられることも貴重な機会であり、それに応えることで安定して高品質なサービスを提供できる職人を1人でも多く育てることに繋げていきたい」と述べている。