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2024年06月24日

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JISで「革(レザー)は動物由来のものに限る」と規定される――リンゴやサボテンなどを配合した合成皮革等を「~レザー」とは呼べなくなった

JIS K6541の制定について説明する日本皮革産業連合会の吉村圭司事務局長

日本皮革産業連合会の吉村圭司事務局長が解説――また、革を粉砕・シート状に加工したものは「皮革繊維再生複合材」と呼称、すでに市場で認知されている「合成皮革」「人工皮革」は使用できる


シューズには、革(レザー)を始め、人工皮革、合成皮革、テキスタイルなどさまざまな素材が使われている。最近では、アップルやサボテン、キノコなどを混ぜた合成皮革が「~レザー」と呼称して登場するとともに、ヴィーガンレザーやリサイクルレザーといった言葉も氾濫し、一般消費者にとって、その素材がどういうものなのか分かりにくくなってきた。


そこで、日本の産業製品に関する規格や測定法などを定めた国家規格であるJIS(Japanese Industrial Standards=日本産業規格)で今年3月21日、「革(レザー)―用語 Leather-Vocabulary」(JIS K6541:2024)が制定され、革(レザー)とは「皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮」であると決められた。つまり、「動物由来以外のものは革(レザー)とは言えなくなった」ということだ。


日本皮革産業連合会は、第107回東京レザーフェア会期中の5月24日、この「JIS K6541の制定」についての説明会を開き、今年4月から改訂された「日本エコレザー認定制度」と合わせて吉村圭司事務局長が詳細について解説した。説明会には、159人が参加し、関心の高さが伺えた。


吉村事務局長は「現在、レザーという言葉が氾濫し、無秩序化してしまっていることが問題となっている」と話し、今回、「公正性(消費者の利益)を確保することが重視されてJISとして制定された」と述べた。また、「世界的にレザーというと、本来は動物の皮を使ったものを指すが、非動物性のヴィーガンレザーやアップルレザーといった、さまざまな言葉が使われ、消費者も売り場も混乱している。用語は本来、言葉でそれが何か分かるものにしなければいけない。それが分からなくなっていることから業界はもちろん、消費者センターや百貨店など小売サイドからの要望も高まっていた」と、今回のJIS制定の経緯について語った。


革(レザー)という言葉の混乱は世界的なもので、2015年には欧州で貿易のための主要な定義のなかで規定され、これを参考に2019年に国際規格ISO15115(Leather-Vocabulary)が制定されている。


JIS自体には、法的強制力等はないが、規定されているもの以外は間違った(正しくない)言葉であると国家規格として定められたことになる。また、ISOの制定で先行した欧州では、イタリアとポルトガルにおいては法律化され、違反した場合には罰則が規定されているという。


今回のJISで制定された用語と定義の詳細概略は次の通り(カッコ内は用語の数)。


・3.1 革(レザー)素材の基本用語(11)=革(レザー)、スプリットレザー(床革)、皮、銀面、ベンズ、エコレザーなど

3.2 なめしに関する用語(5)=なめし、クロムレザー(クロム革、クロムなめし革)など

3.3 製革途中の素材に関する用語(3)=ウェットブルー、ウェットホワイトなど

3.4 仕上げ後の素材に関する用語(12)=フルグレインレザー(銀付き革)、アニリンレザー(アニリン革)など

3.5 革(レザー)を粉砕などして再利用した素材に関する用語(1)=皮革繊維再生複合材

3.6 革(レザー)を模倣した素材に関する用語(2)=合成皮革、人工皮革


吉村事務局長は、「今回のJISの肝となるのはカタカナ表記の‟レザー“が入ったことで、例えばアップルレザーとかマッシュルームレザー、サボテンレザーとは呼べなくなったこと」と説明する。また、その耐久性などが問題となっている、革を細かく粉砕しシート状に加工したものは「皮革繊維再生複合材」というニューワードをつくった。そのため、「ボンデッドレザー」や「リサイクルレザー」「再生革」と表記することは誤りとなった。なお、不織布や特殊不織布、合成樹脂などを使って革の見た目に似せたものとして市場認知されている「合成皮革」と「人工皮革」を規定している。


また、仕上げ塗装または合成樹脂などで表面層を付与したものは、その厚さが0.15㎜以下のものは革(レザー)であり、0.15㎜を超えるが塗装または表面層を含む素材の厚さの3分の1を超えない革(レザー)はコートレザーと呼称する。


新用語として規定された皮革繊維再生複合材は、革(レザー)を機械的または化学的に繊維状や小片、粉末状に粉砕したものを乾燥質量で50%以上配合し、樹脂などの仕様の有無にかかわらずシート状に加工したものを指す。レザーファイバーボード、ボンデッドレザーファイバーともいうが、再生革やリサイクルレザーという用語は正しくない。


さらにエコレザーは、「皮革製造におけるライフサイクルにおいて、環境配慮のため、廃水、廃棄物処理などが法令に遵守していることが確認され、消費者および環境に有害な化学物質などにも配慮されている革(レザー)と規定され、植物由来の素材や革屑を利用した素材ではない。


次に吉村事務局長は日本エコレザー認定事業について解説した。日本エコレザー認定事業の詳細については、こちら


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