2024年6月6日 サステナビリティ モリト、日本で回収した廃漁網100%のケミカルリサイクル糸「MURON(ミューロン)」の製造を開始 パーツ総合商社のモリトは、サステナブル関連プロジェクト「Rideeco(リデコ)」で、日本の海洋環境保護に貢献するため、日本国内で回収された廃漁網を100%使用してリサイクルされた糸「MURON(ミューロン)」の製造を開始する。 世界中で海洋プラスチック汚染の観点から、廃漁網および漁具のリサイクルが重要な課題となっている。2016年度の環境省の調査では、日本に漂着するプラスチックごみの総重量のうち約40%が廃漁網・ロープによるものとしている。この深刻な問題に取り組むため、モリトグループは廃漁網のリサイクルに力を入れている。 廃漁網のリサイクルを継続するためには、大きく2つの課題がある。ひとつは、日本全国の漁業従事者に同社の取り組みを知ってもらい、回収に協力してもらうこと。2つ目は、回収した廃漁網に絡みつくゴミを除去する作業に、膨大なリソースを必要とすること。 そこでモリトグループは、リファインバースグループが構築した漁業従事者との密接なネットワークに参画。また、Rideecoの活動で新たに繋がった漁業従事者とのコミュニティを構築し、社員・協力企業・学生たちとともに廃漁網の不純物除去作業のボランティアに参加するなど、課題解決に向けて活動している。 MURONは、日本国内で回収された廃漁網を100%使用してリサイクルされた糸で、ケミカルリサイクルの工程を加えることで、高品質で安定した繊維の開発を実現した。廃漁網は通常色が付いており、そのままリサイクルすると糸に色が残ることが多いが、ケミカルリサイクルをすることで、これまでにない白色を表現することが可能となった。また、原料に使われる廃漁網は、日本国内のどの地域から回収されたものかトレースでき、100%日本国内で回収された廃漁網の製品であることにこだわっている。 名前には、「無論」という言葉の意味があり、「論じられずとも普通に使われる世の中になって欲しい」というメッセージが込められている。また、ロゴには水滴を模したデザインを取り入れ、製品が水と深く関わることを象徴している。 モリトグループは、「Rideeco」プロジェクトを通じ、持続可能な資源循環社会への実現に貢献する取り組みを強化していく。具体的には、海岸清掃活動の定期実施、千葉ロッテマリーンズや東京ヴェルディ女子ホッケーチームといったスポーツ団体と連携したSDGs教育プログラムの展開など、積極的な活動を進めていく。 MURONは、海とつながりのある複数の大手ブランドでの採用、製品化が予定されている。販売開始は2024年5月を予定しており、GRS(グローバルリサイクルスタンダード)の認証取得についても検討している。 モリトは、1908年にハトメ・ホックの仲買商として大阪の地に創業。110年以上にわたり、アパレル付属品を企画・開発・販売している。世界12カ国・19社のグループ会社と連携してグローバルに事業を拡大し、パーツの総合商社でありながらメーカー機能も持ち合わせ、保有する特許・実用新案・意匠は230件以上、取り扱いアイテム数は10万点を超える。 ハトメ・ホック、マジックテープ(面ファスナー)、靴の中敷、自動車マットエンブレムの分野では、国内市場No.1のシェア(同社調べ)。近年は、サステナブル関連プロジェクト「Rideeco」やアパレルのオリジナルブランド「ALL WEATHER HIGH SPEC WEAR」、防水素材バッグ「ZAT」や「ZAB)」といった製品事業も幅広く展開している。