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2024年05月09日

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【ムーンスター150周年特別企画②】井田祥一社長が150年の想いや歴史のなかでのエポックを語る


140周年から強化してきた直営店やEC、海外事業、ユース向け製品は実績積み上げる


■140周年から取り組んできた中期計画「MSビジョン150」の進捗について。


2013年の140周年を機に、150周年に向けた中期計画「MSビジョン150」を制定し、お客様に寄り添った取り組みとして、直営店とECビジネスを強化するとともに、海外販売の拡大、そして大人・シニア市場向けのプロダクトの強化、という4つの事業を進めてきました。150周年を迎えた今から考えても、これらの方向性は間違いがなかったと思っており、それは数字にも表れています。


直営店やEC、海外のビジネスは、取り組み当初から10数倍に、140周年比では4倍に伸びています。現在では、当社の売上げの約15%を占めるまでになりました。数千万円の売上げだったECビジネスも、10数億円の規模になってきました。


また、海外市場についても、欧米や中国を中心に需要は落ちていません。140周年の時に3億円だった売上げは、10年で約6倍になりました。ユース向け商品も海外で販売するようになり、子ども靴との相乗効果も出てきています。さらに、MOONSTAR JiyugaokaやALSO MOONSTARでは、コロナ禍が収束してから急激にインバウンド客が戻ってきています。


ユース向け商品については、久留米本社工場の加硫製法によるFINE VULCANIZED(ファインヴァルカナイズ)、続いてインジェクション製法のCHIC INJECTION(シックインジェクション)を提案し、佐賀工場では革靴の製法とライフスタイルを融合して、これまでの価格帯からもう少し上のレンジに入り込んでいくSPxx(エスピー)やSHINARI(シナリ)等を提案し、当社がもつ工場の強みを生かしたプロダクトを生み出してきました。また、国内の製靴技術をベースに海外でつくり、背伸びすれば買える価格のIn Use(インユース)などで、ミドルレンジも構築してきました。


革靴のラインは、これまでは紳士靴、婦人靴というジェンダー別の開発を進めてきましたが、今の消費者の嗜好に合わなくなってきましたので、ライフスタイルという捉え方をしようと大きく切り替えてスタートしています。コロナ禍では、マーケットになかなか新しい商品が出てこない環境下にありましたが、当社ではずっと、これら新しい商品の開発を行ってきました。国内工場の国産ラインは増産体制を整えており、受注増に向け、営業をかけている所です。


「MSビジョン150」で強化・拡大を目指した項目は、コロナ禍を経ても順調に成長していますが、当初は主力の量販店向けのビジネスが安定しているうえでのプラスアルファと考えていましたので、その土台である既存領域が右肩下がりとなってしまったことは想定外でした。


地域に根付く企業とコミュニケーションをとって共存共栄していくことも次のビジョンのひとつに


■今後の中期的な方向性について。


2~3年前から、小売やEC、海外展開等は、メーカーとしても当たり前のビジネスとなってきましたので、あえて特別なビジョンとして掲げる必要はなくなりました。そこで、「MSビジョン150」という呼び方はやめ、通常の業務のなかで取り組んでいくことに切り替えてきました。


ECビジネスは、コロナ下のような急激な伸びは期待できませんし、創業時に掲げた“御誌向御好次第(おあつらえむきおこのみしだい)”のように、すべてのマーケットに向けた商品を揃えていくことは難しい時代になってきました。


そのため、付加価値を上げて適正な価格で適正な利益を出していくことが、今後の大きな課題だと考えています。目標とするマーケットとしては、ミドルレンジから上の層、そして少し背伸びすれば手に入って生活していくうえで満足感が得られる商品を、適切な場所で買えるようにしていくことが、当社らしいのではないかと思っています。


3年前ほどから地域の靴専門店さんと連携し、Supported by MOONSTAR(サポーテッド by ムーンスター)の屋号で、売上げの6割から7割を当社の製品で整え、販促のサポートや供給の管理も行う売り場づくりを行い、現在、全国に12店舗を数えるようになりました。こうした地域と結びついた有力小売店さんとコミュニティづくりを行いながら共存共栄していく取り組みも進めています。


また、九州には、すでに当社と取組実績がある文具・雑貨のハイタイドさんや地域文化商社のうなぎの寝床さん。当社との取り組みはありませんが、茅乃舎だしの久原本家グループさんなど、ローカルからの発信で世界に飛び出していこうという気概のある企業が増えています。そうした企業とのコラボレーションも進めながら、ローカルからの発信で世界の人に刺さる仲間とコミュニティをつくっていくこともビジョンのひとつであり、夢でもあると考えています。


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