shoespost

 

 

Shoespost-online

2024年05月01日

Shoespost-online

2024年05月01日

【アウトドアシューズ特集】ゴールドウイン「ザ・ノース・フェイス」――トレイルランニングのVECTIVコレクションが認知度アップ。アクティビティのビフォア&アフターのための高機能サンダルがヒット。今夏はトレッキングシューズにエントリーモデルを投入



3Dプレート搭載のトレイルランニングシューズ「VECTIV(ベクティブ)」コレクションが進化――「反発性」「軽量性」「グリップ性」「クッション性」から重視するポイントで選べるラインアップに


コロナ禍による制約が徐々になくなってきたなか、大会とその参加者が増えてきたトレイルランニングマーケットで、「ザ・ノース・フェイス」の存在感が増している。


2021年春、身体への負担を軽減しエネルギーを効率の良い走りに変えること、足のトラブルへの配慮、そしてさまざまな天候への対応をポイントにしたVECTIV(ベクティブ)テクノロジーが開発され、トレイルランニングシューズのVECTIVコレクションがデビューした。このザ・ノース・フェイス独自の機能モデルは、横ブレを抑え「安定性」を持って走るための3D(カーボン)プレート、着地から蹴り出しまでのエネルギーを「推進力」に変えるロッカー構造、ドライからマッドな路面まで「グリップ力」を発揮する生分解性素材ベースのSurface CTRLラバーで構成された。


ゴールドウインでは、VECTIVコレクションがデビューして以来、さまざまなプロモーション活動を注力してきた結果、認知度向上につながって順調に推移している。とくに“履いて走れば、その快適性が分かる”クッション性の高いミッドソールの性能の高さが、ランナーに高く評価され、昨年からさまざまな大会でVECTIVコレクションを履いて入賞したランナーの実績がダイレクトにユーザーに伝わっている。今年4月に行われた国内レース、ULTRA-TRAIL Mt.FUJI(ウルトラトレイル・マウントフジ)のトップ50人のうち、10人がVECTIVコレクションを履いていた(同社調べ)ように、トレイルランニングシューズ市場での認知度は、確実に積み上がってきている。

そして2023年。2世代目となるVECTIV 2.0にバージョンアップされたテクノロジーを載せたトレイルランニングシューズがデビューした。最大の特徴は、プレート(素材はモデルによりカーボンとTPUを使い分けている)を3D構造にしたうえ、スリットを入れて横ブレを抑えつつ安定性を向上させたこと。


ゴールドウインでは、機能性がさらに向上しビギナーからトップレベルまでが使えるコレクションとなったことから、レベル別からユーザーの重視するポイントに合わせたラインアップにして各モデルを訴求していく。


ザ・ノース・フェイスには、極所を“登る”“走る”“滑る”ために開発された頂上シリーズに位置付けられるSUMMIT(サミット)シリーズがあり、シューズで初めてこの“SUMMIT”の名前が付いたのが、発売中のトレイルランニングシューズ「SUMMIT VECTIV PRO(サミット ベクティブ プロ)」と、「SUMMIT VECTIV SKY(サミット ベクティブ スカイ)」の2機種になる。

SUMMIT VECTIV PRO 2万9920円(税込)/「反発性」を重視するランナーに向けたモデル。スリットを入れたWINGS & FORK形状の3Dカーボンプレート搭載。前足部サイドにビジブル化された3Dカーボンプレート(黒い部分)が露出している

「SUMMIT VECTIV PRO」は、反発性を重視するランナーに向けたモデル。スリットを入れたWINGS & FORK形状の3Dカーボンプレートが不整地での路面を確実にとらえ、蹴り出し時のブレを抑える。“WINGS & FORK形状”とは、スリットを入れて先端がフォーク状になったプレートの前足部が立体的に翼のように左右に広がっている状態のことを指す。


スリットが入ったことでさまざまな形に変形しつつ、弾性によりブレを抑えるプレートが、踵部は足を包み込むようにせり上がってホールド性を高め、反対に前足部はせり下がってミッドソールの外側までに露出し、安定性を向上させる。アウトソールの3.5㎜厚のラグは、トレイルだけでなくロードでも不快感なく使用でき、日本のトレイルシーンでの汎用性を高めている。THE NORTH FACEアスリートが着用するのもこのモデルだ。

SUMMIT VECTIV SKY 2万7940円(税込)/「軽量性」を重視するランナーに向けたモデル。スリットを入れた3Dカーボンプレート+高反発素材Pebax搭載

同じく“SUMMIT”の名前が冠された「SUMMIT VECTIV SKY」は、軽量性を重視するランナーに向けて訴求する。足裏でしっかり地面を感じ、フィット感も高く、足さばきがしやすいモデルとなっている。スリットを入れた3Dカーボンプレートを全面に搭載し、高反発素材のPebaxフォームを前足部に入れることで軽量、かつ弾むような反発性を感じられる。

VECTIV INFINITE Ⅱ 2万4970円(税込)/「グリップ性」を重視するランナーに向けたモデル。スリットを入れた3D TPUプレート+高反発素材Pebax搭載

「VECTIV INFINITE Ⅱ」は、グリップ性を重視するランナーに向けたモデル。5㎜厚のラギッドソールが不整地のマッドトレイルでもしっかり路面をとらえることができる。スリットを入れた3D TPUプレートに、SUMMIT VECTIV SKYと同様に、Pebaxフォームを組み合わせ(VECTIV INFINITE Ⅱの方が厚めに搭載)、反発性を感じられる。

VECTIV ENDURIS Ⅲ 1万9910円(税込)/「クッション性」を重視するランナーに向けたモデル。スリットを入れた3D TPUプレートを搭載

そして「VECTIV ENDURIS Ⅲ」は、クッション性を重視するランナーに訴求するモデル。中距離~長距離のトレイルレースに対応するために、クッション性と反発性のバランスが良く、初級者~上級者までレベルを問わずに幅広いランナーが使用できる。スリットを入れた3D TPUプレートを搭載する。



アクティビティの前後に使える!硬度の異なる2層構造のソールユニットで荷重を分散、安定して歩けるトングサンダル「RE-ACTIV FLIP」

毎年、機能性の高さで支持されるサンダルカテゴリーでは、2023年春夏モデルとして登場したアクティビティのビフォア&アフターのための「RE-ACTIV FLIP(リ アクティブ フリップ)」がヒットし、「ザ・ノース・フェイス」のシューズを牽引している。


特徴は、VECTIVコレクションのテクノロジーを応用した硬度の異なるEVAを採用した2層構造のソールユニット。トップレイヤーには低硬度材を配備し、ボトムレイヤーは12%硬度を上げた材料を配備することで、トップレイヤーで荷重分散と衝撃吸収、ボトムレイヤーでは反発性と歩行安定性をそれぞれ実現する。


また、インサイドとアウトサイドの硬度さを利用して踏まず部アーチのフィット感を向上させ、快適性をキープ。さらに、ソール部はセミロッカー構造の採用で、歩行動作をサポートし、接地面積を多くとったアウトソールデザインは、歩行安定性を生み出す。


この「RE-ACTIV FLIP」について、同社の創業の地、富山県小矢部市にあるGOLDWIN TECH LAB(ゴールドウイン テック・ラボ)で実施した衝撃吸収&荷重分散テストでは、体圧が分散されることで衝撃吸収性が従来品比で22%向上するという試験結果が出ている。また、このサンダルは、全体の49%をバイオベースのEVA(サトウキビ由来)で構成しているサステナブルな製品でもある。この新しいサンダルコレクションは、来春に向けてアイテムを追加し、さまざまなニーズに対応できる構成としていく予定。

RE-ACTIV FLIP 9900円(税込)/アクティビティのビフォア&アフターで足元を快適にサポートするサンダル。2層構造のソールユニットで衝撃を吸収、快適に歩ける。㊤㊧からブラック、レッドイエロー/ライムクリーム、㊦トロピカルピーチ




8月からエントリー層向けのトレッキングシューズ「CRESTON HIKE MID WP(クレストン ハイク ミッド ウォータープルーフ)」を発売へ

CRESTON HIKE MID WP 2万1890円(税込)/低山・日帰り登山のエントリーユーザー向け登山靴。ヴィブラムXS-TREKラバーソール搭載。㊤㊧からブラック、グレー、㊦ブラウン

アウトドア市場は、キャンプ需要がひと段落する一方、密にならないアクティビティとして注目されていた登山が、コロナ禍の収束で一気に脚光を浴びる気配になってきた。巷ではインバウンドの増加とともに、富士山への“弾丸登山”が再び危惧されるといった事態にもなっている。


そうしたなか、「ザ・ノース・フェイス」のトレッキングブーツは昨年、市場への総供給量が減るなかで前年比倍増で推移した。2023年春夏も、昨年には及ばないものの順調に推移している。今年の夏山では、中級者までに対応する「CRESTON MID NEO FUTURELIGHT(クレストン ネオ ミッド フューチャーライト)」を中心に需要が増えそうだ。


ゴールドウインでは、安全で身近で行えるアウトドアアクティビティとしてビギナー層の流入も増えている登山の需要増に対応するため、今年8月からエントリー層にフォーカスしたモデルとして「CRESTON HIKE MID WP(クレストン ハイク ミッド ウォータープルーフ)」を投入する。価格は2万1890円(税込)。


このモデルは、CRADLEヒールテクノロジーで安定性を高めたうえ、2種類のシャンクプレートによりソール剛性を高めている。さらに後足部に横ブレを抑える補強パーツを組み込むことで安定して歩ける。約5㎜に設計されたラグを配したアウトソールには、ヴィブラムのXS-Trekラバーを採用し、ドライからウェットまで、さまざまな路面コンディションでグリップを発揮する。


若年層を始めとした低山・日帰り登山のエントリーユーザーに向けた、税込で2万円台前半という値頃感のある「CRESTON HIKE MID WP」の新規提案により、店頭ではウェア等とのトータル提案がしやすくなることが期待される。


そして、秋冬のメイン商品となる防寒ブーツのヌプシコレクションが、今シーズンも注目の的となりそうだ。コロナ禍の2年間は、生産拠点のロックダウンなどの影響で予定数量が確保できないという厳しい局面を経験したが、マーケットから「ヌプシは必要不可欠」と再認識されており、コロナ禍前の受注を確保することができたという。


同社では、コロナ禍でのライフスタイルの変化や寒い時季が短くなってきた温暖化の影響も踏まえ、ベーシックモデルをベースとしながら、スニーカータイプやミュールタイプ、スリッパタイプといったアッパーのデザインや素材にバリエーションをもたせたラインアップを構築していく。追加企画として、北海道や東北の積寒地を中心にした“凍結路面”に対応するヴィブラムのアークティックグリップソールを搭載したモデルもリリースされる予定で、今シーズンもヌプシコレクションから目が離せない。



関連記事


注目記事


商品特集

商品特集


連載

  • いちがいもんの独り言
  • フィッティングの技法
  • トレンドを俯瞰する
  • シューズビジネスを考える

有料会員限定記事


カテゴリー別記事

企業

業界

商品

マーケット

サステナビリティ

インタビュー

決算

人事

PAGE TOP