「UMINOKUTSU」㊧黒（菊地基文モデル）、㊨ベージュ（千葉豪モデル）

カメイ・プロアクトが展開する「パトリック」と三陸・福島の水産業リーダーのネットワーク「フィッシャーマンズ・リーグ」（事務局：一般社団法人東の食の会）とのコラボレーションにより生まれたサステナブルなスニーカー「UMINOKUTSU」が、ECサイト（https://patrick.jp/collections/sustainable?view=boost-pfs-original）で販売されている。

「UMINOKUTSU」は、フィッシャーマンズ・リーグが問題提起する海洋プラスチックゴミである廃棄魚網を原料の一部にしたリサイクルナイロンを採用している。アッパー素材のナイロンには撥水機能も備え、厚めのソールで履きやすさにも配慮している。

企画段階から、菊地基文氏（福島県相馬市）と千葉豪氏（岩手県大船渡市）の2人の漁師の意見を取り入れ、カラーも2人それぞれのアイデアにより、黒（菊地基文モデル）、ベージュ（千葉豪モデル）の2つのモデルが完成した。価格は1万9800円（税込）で、サイズ展開は35～45（22.5～28㎝）

同時に、熊本県の小国町森林組合とのコラボレーションによる「MORINOKUTSU」も販売されている。

販売にあたり、漁師2人のインタビューがパトリックの公式ウェブサイトで公開されている。「UMINOKUTSU」販売にあたって菊地基文氏は次のようにコメントしている。

「『自然』とは、人の手を加えないありのままの状態のことを指すそうだが、自分は人の暮らしの進化もまた自然の一部だと思っている。大昔、地球は人間が生きて行くには大変な環境だったと思うが、知恵を持つ人間が必死に暮らしやすさを求め続けてきた末に行き着いたのが今の生活と自然環境だと思う。ただその結果、人間が生きるために必要な食料の源となる山や海や大地など、暮らしの根本となる自然環境が崩れているみたい。ならば、人はまた生きて行くために必死になって知恵を絞らなければならなくなるだろう。その時期がすでに来ているのは漁師の肌感覚でも感じている。海洋プラスチック問題が、この先も人間が生きていける環境をアップデートするためのきっかけになってくれることを望んでいる」

また、千葉豪氏は、「いままで、日本人は海にゴミを捨ててきた。恥ずかしい行為なので目を背けたくなるが、事実なので認めなければならない。海洋ゴミの半分は、漁業系のゴミだというデータもある。高波や津波などによる漁具の紛失も含め、漁業者も海にゴミを捨ててきた過去がある。前の世代の出したゴミは、今の世代で回収する。20世紀のゴミは、私たちが駆逐する」と述べている。

「パトリック」を展開するカメイ・プロアクトは、今回の取り組みついて、次のようにコメントしている。

「パトリックは日本に上陸して44年。日本製にこだわって姫路の工場で靴職人が１足１足を丁寧に作っている。今回、パトリックが考えるサステナブルとして日本の「森」と「海」に着眼した。森と海は繋がっている。森の影響は海に影響することから、環境問題を考える上で森と海は一緒に考えなければいけない。全体のテーマは“人新世（Anthropocene）”としている。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆い尽くした時代に私たちはどう自然と一緒に生きていくか、を自然を仕事にし、自然とともに暮らす“森の民＝木こり”、“海の民＝漁師”と一緒に靴を通して考えていく」

フィッシャーマンズ・リーグは、日本の水産業と魚食文化の発展のため、漁師・卸業者・水産加工事業者など水産業の若手リーダー達が連携して世界に通用するブランドづくり、漁業や魚食文化に関する食育活動、海外販路開拓などに取り組んでいる団体。

また、東の食の会は、「東の食に、日本の力を。東の食を、日本の力に。」をモットーに、東日本大震災によって被害を受けた東日本の食産業の長期的支援を目的として2011年に創設された一般社団法人。東北の食の販路開拓や、商品プロデュース、人材育成を行い、当初の5年間で約 150億円の流通総額を創出することに成功。これまで累計製造1000万缶を超えた岩手発のサバの缶詰「サヴァ缶」や、スーパー海藻「アカモク」、福島の伝統的漬け床三五八（さごはち）」をリブランディングした「358 （サゴハチ）」といった商品開発のプロデュースを行い、東北の食からヒット商品を生み出している。