雪駄ブランド「marso」のレザーモデル㊤とジュートモデル㊦
国産スニーカーブランド「blueover(ブルーオーバー)」を展開するBATON(バトン)は、奈良県にある丸宗が展開するカスタムオーダー雪駄ブランド「雪未踏(ゆきみとう)」とコラボレーションし、新たな雪駄「marso(マルソー)」をblueover直営店舗およびオンラインストアで発売した。今回のコラボレーションでは、互いの国内におけるものづくりのノウハウを生かし、blueoverで使われている底面ゲージ、素材、ソールを使い、そこに雪未踏の技術を用いて新たな雪駄を生み出した。
多湿の日本に適した履物といえる雪駄について、雪駄の履き心地は損なわずに、blueoverの良さを融合させることが必要であると考えた。足と雪駄を固定する「鼻緒(はなお)」については、この鼻緒を取り付ける「天」と呼ばれる部分(靴ではゲージとも言う)には、blueoverで実際使用しているサンダルの底面ゲージを使用。雪駄のゲージ(天)は小判のような形をしているが、このゲージを使うことで雪駄のイメージよりもサンダルのような佇まいとなった。そして天の中には低反発ウレタンを挟み込むことで、足を入れた時、「ふわり」としたフィッティングを生み出している。
ソールはあえて傾斜板を付けずドロップレスとし、シャークソールの10㎜のシートの設計を施し、サンダルライクな佇まいを目指した。
使用しているレザーは、タンナーの倉庫で眠っていた革を厳選して採用し、上質な革ながら価格を抑えて提供することが可能となった。今回採用したのは、牛革の中でも高級靴などに採用されているカーフ(生後6カ月以内の子牛の革、表面がきめ細やかで傷が少ない)で、これまでにない高級感ある雪駄となった。
モデルは、異なるアッパー素材で2種類をリリース。1つは姫路にある老舗タンナーの上質な牛革を全面に採用(レザーモデル:税込1万7600円)。カラーはブラックとチョコ。もう1つは雪駄として定番の素材であるジュートをフットベッドに、鼻緒にダブルラッセルを使用したもの(ジュートモデル:税込1万5400円)を用意した。カラーはジュート。サイズはM(25.5~26.5㎝)とL(27.0~28.0㎝)。
ブルーオーバーは、2011年にスタート。プロダクトデザイナーであった渡利ヒトシ氏が、国内製造業の社会的課題において、国内の蓄積されたモノヅクリ技術の消失を防ぐため、そこに宿る精神的豊かさをつなぐため活動しているスニーカーブランド。地域のクラフトマンに敬意を表し、素材、加工、製造工程をできるかぎり国内で行っている。
一方、雪未踏とは、雪駄を販売しつづけて60年になる奈良県にある丸宗(まるそう)が、雪駄の伝統を継承するため生み出した雪駄ブランド。雪駄の生産は一般的に分業体制であるが、高齢化に伴う事業継承問題を考え、業界でも珍しい社内に一貫生産できる工場を設置。少量からも生産できる体制を作り上げ、従来は不可能だったカスタムオーダー対応を作りあげた。