シューズラボCueのお客さんが履いていた靴。松下氏は「このくらいのシルエットにはしてほしい」と話す
ここ数年、なぜゴム履物メーカーはレディスの紐靴について、トゥが丸くてウエストの締まりがないコロンとしたシルエットのものしか出さないのだろう? 同じようなのでバリエーションを増やしても、ほんとうに飽和状態。スニーカーの方がスマートなものがある。
機能を謳おうが色やデザインを変えようが、トゥやシルエットが似たり寄ったりでボテっとしていては、大してTPOは変わらない。10年くらい昔は、ゴム履物メーカーの履き心地の良さを活かし、なおかつ婦人靴メーカーが作るシルエットに近づけようとした、もう少し“シュッとした”紐靴があったのに…。
活動的なミドル〜シニア層が、冠婚葬祭や仕事、都会への出張や旅行、ちょっと引き締めたい場などで履けて、アクティブに活動できる紐靴が今、市場に抜けています。接客していると、実際にアクティブミドル〜アクティブシニア層の女性が増えていると感じます。
簡単に言えば、華奢な作りの婦人靴専門メーカーではなく、ゴム履物メーカーが作るしっかりした作りで、“シュッとした”シルエットの紐靴が市場に不足しています。
トゥは細くて薄めだが、婦人靴のパンプスほどは足趾を締め付けない。ウエストは引き締まってフィット感が良く、綺麗に見えるシルエット。スリッポンよりシューレースやストラップのデザイン。肝はゴム履物メーカーのカチッとした作りと履き心地が良いソール。
セルフ販売やバイトスタッフ中心の靴売り場がメインだと、いかにも楽そうなシルエットで、足を入れやすく、緩くて柔らかい靴が手っ取り早く売れるという固定概念でしょうね。実際、そういう層は多いでしょうが…、顧客とスタッフを育てようとせず、そればかりやっていると業界が衰退していくだけですよ!
メーカーさんにはお話しているのですが、ずっとスルーのようです。自社品が入っている売り場以上に、入れたい売り場をトップが回って耳を傾け、どうしたら良いか感じ取って欲しいです。やる気がある若い人たちが他の業種に行ってしまわないにように!
それから、パンプスを履いて美しい所作を保つのは大変な努力が要ること。さらには、行動が制限されることをアクティブ層が気付いてきたのではないでしょうか? 少なくとも当店では、気付いていただくように接客しています。
それからそれから…、大事なことですが、ケアシニア向けのブランド名で“シュッとした”のを出すのはアウトです。アクティブシニアは先ず、そのブランドのイメージで強く拒否します。明確に分けましょう!
【松下誠氏のプロフィール】
シューズコンフォートアドバイザー。広島県福山市でシューズの販売を通して足と靴に関するアドバイスを行っている「シューズラボCue(キュー)」を経営。なお、“いちがいもん”とは広島の方言で「頑固者」を指す。