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2024年04月30日

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アシックス、市販シューズのなかで温室効果ガス排出量を最低にした「GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95」の詳細を発表――ミッドソールにカーボン・ネガティブ・フォームを使用

㊧からアシックスのサステナビリティ部荒井孝雄GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95プロジェクトリーダー、同社吉川美奈子サステナビリティ統括部長、同社鈴木豪執行役員スポーツスタイル統括部長、横田浩一慶応義塾大学大学院特任教授。荒井氏は、「品質を保ちつつ、16個の削減施策を実施した。例えば新たなアプローチとして、材料投入の総量を減らすために、シューズ裏側の素材を互い違いに裁断することでロスをなくした」と語った。また企業や行政のサステナビリティ分野のコンサルティングも務める横田氏は、「若い世代では、同じ価格なら環境に優しい商品を購入するという人が80%を超えている。彼らはSDGsネイティブ世代で、社会人になると購買行動が変化してくる」と指摘。さらに「サステナビリティに挑戦することが組織の資産となり、それがブランド化され、企業資産になる。何より従業員の意識が変わってくることが企業価値となる」と述べた

アシックスは、市販シューズのなかで最も低い温室効果ガス排出量を実現したスニーカー「GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95」の発売に関するメディア説明会を9月11日(月)に開催し、商品概要を始め、開発背景などについて明らかにした。「GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95」は、昨年9月に開発段階で発表しており、1年後の今年9月14日から同社オンラインストアで先行発売、その後22日から直営店で限定発売された。


冒頭、アシックスの鈴木豪執行役員スポーツスタイル統括部長は、「刺繍でアシックスストライプを表現、アッパーはテープによる補強構造を用いるなど、パーツ削減による生産性向上と、それによるCO2排出量削減を細部にわたるまで妥協しなかった」と語った。さらにアッパーと中敷は環境負荷の低い染色技法であるソリューションダイを使ったリサイクルポリエステルを使用。とくにミッドソールは、「複数のバイオベースポリマーの配合で実質温室効果ガスをマイナスに保つカーボン・ネガティブ・フォームを使用していることが最大のイノベーションポイント」と説明し、カーボンフットプリントを最小限に抑えながら、「機能性とデザイン性の融合に一切、妥協しなかった」と述べた。


続いて同社吉川美奈子サステナビリティ統括部長は、「シューズ業界では世界で年間約200億足もの靴を生産しており、これを温室効果ガスの排出量に換算すると全体の1.4%を占める。シューズを、よりCO2の削減を進めたり循環型にしていくのは、アパレルよりも難しい。それは靴は構造が複雑でパーツが多く、材料の種類も多岐にわたっているから。そのため製造工程も多く、排出するCO2の量も多くなる。また、パーツの形も複雑で廃棄するものも増えてくる。そうしたなかで、それにチャレンジしてイノベーションを起こしていくことで、業界の新たなベンチマークにしたいという想いで、このプロジェクトはスタートした」と語った。


同社のスニーカーにおける温室効果ガス排出量は平均8kgで、ランニングシューズは平均12.5㎏あり、今回のスニーカーの1.95㎏は通常のスニーカーの約4分の1。それを達成するためには、材料調達から生産・輸送・使用・廃棄に至るまでバリューチェーンでの削減が求められる。今回、材料調達と生産の過程で、80%のCO2削減に成功した。そのなかでパーツは50%を削減、材料開発ではカーボン・ネガティブ・フォーム、生産過程では再生エネルギー調達などを行った。GEL-LYTE Ⅲシリーズを同量の排出量にすると、2100㌧もの削減になるという。


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