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2024年03月19日

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ミズノが2021年度からグローバルでサステナビリティ活動を加速 ――2050年にカーボンニュートラル実現を目指す

ミズノサステナビリティのイメージビジュアル

「環境保全」「スポーツを通じた心身の健康」「人間性の尊重」を戦略領域に位置付ける


ミズノは、持続可能な社会の実現に向けて、2021年度からグローバルでサステナビリティ活動をさらに加速させ、社会課題解決を通じた事業の成長を目指す。


同社は、経営理念「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」のもと、スポーツの多様な価値を広め、社会への貢献を通して事業を成長させてきた。1990年代にオゾン層破壊など地球温暖化が世界的な問題になるなか、1991年9月から業界に先駆けて独自の地球環境保全活動「Crew21(クルーニジュウイチ)プロジェクト」を始動した。


Crewとは、Conservation of Resources and Environmental Wave 21の頭文字をとった造語で、「21世紀に向けて“宇宙船地球号”の乗組員としての役割を担い、資源と環境の保全活動を実施していく」という思いを込めて名付けられた。


プロジェクト開始以来、資源の有効活用や温室効果ガスの排出量削減、製品企画における環境に配慮された素材や製造工程の採用などの取り組みを30年間続けている。


こうした取り組みのなかでは、1997年6月にスポーツ業界で初めて、養老工場(現ミズノ テクニクス㈱養老工場)がISO14001の認証を取得し、その後国内外事業所も認証を取得している。


サステナビリティ活動のビジョンステートメントとミッションステートメントを策定


ミズノは2021年度からサステナビリティ活動のビジョンステートメントおよびミッションステートメントを新たに策定している。


〈ビジョンステートメント〉
私たちは 誰もが安全で平等に暮らしていける「持続可能な未来」を信じています
すべての人々の多様性を尊重し いつでも どこでも 誰もが
自由にスポーツを楽しめる豊かな未来を育んでいきます


〈ミッションステートメント〉
私たちは スポーツの舞台である この地球を守るため
科学的アプローチや自然から得たインスピレーションを
私たちの製品・サービスに融合させ 新たなイノベーションを生み出し
すべての人々がスポーツを通じて健全な心身を育む未来を実現します


また同社は、2020年4月に長期経営方針を改訂し、“SDGsを含めた持続可能な社会の実現に貢献する”として、「SDGs」の文言を新たに加えた。CO2排出量を、Scope1(自社の直接排出)とScope2(自社の間接排出)については、2030年に2018年比で30%削減、Scope3(サプライチェーンにおける間接排出)については2018年比・製品あたり50%削減すること、さらに2050年にカーボンニュートラル実現を目指す方針も示した。


そして2021年度からは、社会貢献と事業を一本化したビジネスモデルを、より進化させることを目的に、「環境保全」「スポーツを通じた心身の健康」「人間性の尊重」をサステナビリティ活動の戦略領域に位置付けている。


「Crew 21」から活動領域を拡大した「MIZUNO CREW 21」へ

「MIZUNO CREW 21」の新ロゴ。中央の植物は、サステナビリティの取り組みのなかで重要な環境課題に真摯に取り組む姿勢を表現。3つの矢印による人のフォルムは、「経済、社会、環境」の3側面にバランスのとれた持続可能な開発を目指すことを表現



【環境保全】――スポーツができる環境を守る


ミズノは、2050年に同社グループの企業活動において、温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの活用や製造工程の革新などの取り組みを強化する。併せて水の効率的な利用や廃棄物の削減、リサイクル素材や植物由来材料の使用など、環境に配慮した取り組みも強化する。


そして、Crew21プロジェクトの活動領域を、環境保全活動だけでなく社会的、経済的な領域も包含したサステナビリティ全般のプロジェクトとして拡張する。名称を「MIZUNO CREW 21(ミズノクルーニジュウイチ)」とし、ロゴも刷新した。


【スポーツを通じた心身の健康】――世界の子ども達にスポーツを。乳がん撲滅への取り組みも


ミズノは、より多くの人々がスポーツにアクセスできる環境の実現を目指していく。特に、「子どもの運動能力と体力の向上」「スポーツを通じた健康寿命の延伸」「地域スポーツの振興支援」を重要課題と位置づけ、取り組みを強化する。

ベトナムの子どもたちの運動能力向上などに寄与している独自の運動プログラム「ミズノヘキサスロン」

そのひとつの例として、独自に開発した子ども向け運動プログラム「ミズノヘキサスロン」を、ベトナムの初等義務教育の体育授業に取り入れる事業を2015年から提案している。この事業では、2021年3月までに累計32万人がこのプログラムを体験した。同社は、ベトナムの約720万人すべての小学生に「運動をすることの楽しさと体を動かすことの喜び」を提供し、ベトナム初等義務教育における体育授業の充実をはかるとともに、スポーツを通じた心身の健康に貢献していくとしている。


また、オーストラリアでは、2020年からランニングシューズの売上の一部を、国立乳がん研究基金(オーストラリア)に寄付している。寄付金は、同国で年間約3000人と言われる乳がんによる死亡者の撲滅に向けた研究費用などに充当されている。


国内では、企業や自治体、商業施設に向けて子どもからシニア世代までが行えるさまざまな体験型運動プログラム「ミズノの“ことぷろ”」を提供している。昨年からのコロナ禍にあっても、オンラインで実施できるプログラムも用意している。


【人間性の尊重】――CSR調達、ダイバーシティの推進に取り組む


ミズノは、フレンドシップとフェアプレーの精神をもって、多様性を尊重し価値観を共有することで、事業に関わるすべての人々がいきいきと輝ける社会の構築を目指す。


その一環として、国際的な基準をベースとした「CSR調達行動規範」を定め、製造工程において法令順守はもとより、人権、労働条件、安全衛生、環境保全などについて確認するCSR監査を実施し、問題があれば改善を図るCSR調達活動に2004年から取り組んでいる。品質はもちろん、労働環境にも配慮した“良いモノづくり”を推進している。


また、障がい者用スポーツ用具の開発・提供や、選手・チームのサポートなどを通じて、障がい者のスポーツへの参画をサポートしていくことなど、さまざまな立場の人々が、スポーツに参画できる環境の創出に取り組んでいる。


2022年度に新研究開発拠点が完成


ミズノは、2022年度に大阪本社に隣接する場所に、新研究開発拠点を完成させる予定。ここは、スポーツの力で社会課題を解決するイノベーション創出の場となる。


■“社会貢献を通じて事業を成長させる”という取り組みの根底にあるもの――「ええもんつくんなはれや」と「利益の利より道理の理」

ミズノ創業者の水野利八氏㊧と野球ボール反発試験の様子㊨

ミズノの経営理念「より良いスポーツ品とスポーツ振興を通じて社会に貢献する」は、創業者 水野利八氏(1884~1970年)が遺した「ええもんつくんなはれや」と「利益の利より道理の理」の精神に基づいている。


「ええもんつくんなはれや」は、“時代にあったいいものをつくること”を意味しており、製品やサービスの品質を追求する活動につながっている。また、スポーツの振興を通じて市場を創出し、その結果として事業につなげるビジネスモデルは、「利益の利より道理の理」の精神に基づいた活動になる。


今後も同社は、この精神に基づき、社会貢献と事業を一本化させた“ミズノらしい”ビジネスモデルを、より進化させていく。


≪水野利八氏の野球競技振興への貢献≫


水野利八氏は、日本において野球競技の振興をはかるため、1913(大正2)年に全国高等学校野球選手権大会の前身となる「関西学生連合野球大会」を主催した。さらに、野球ボールの品質のばらつきが野球競技の発展を阻害すると考え、1916(大正5)年に硬式野球ボールの規格化を提唱した。スポーツの機会創出と野球用品の品質追求を通じて、野球競技の振興に努めた。



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