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2024年05月11日

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イタリアの植物タンニンなめしによるタンナー2社(PIO DUSINI/ピオ・デゥジーニ、ITALPEL/イタルペル)がプレゼンテーション

■ITALPEL(イタルペル)社
革職人組合ギルドを起源とする植物タンニン鞣し専門のタンナー――現代のニーズにマッチした革を最新のイノベーションと伝統で仕上げる


イタルペル社は、トスカーナのポンテ・ア・エゴラという革なめしの集積地を本拠とするタンナー。中世とルネッサンス期の革職人組合ギルド(Arte Minore dei Cuoiai and Galigai)を起源とする植物タンニン鞣しを専門とする家族経営のタンナーだ。1960年代にQuagli(クワーリ)とNigi(ニッジ)の2つのファミリーによる協働体制をスタートし、イタルペルとなったのは1985年。ソールレザーの製造でスタートし、その後、靴のアッパーやバッグに使われる植物タンニンなめしの牛革(バケッタ)の生産に至る。イタリア植物タンニンなめし革協会の創立メンバーの1社で、厳しい規則に適合した製品をつくっている。

イタルペル社のPaolo Quagli氏

製品は、イタリア国内向けが20~25%、輸出が75~80%を占めている。用途としては70%がレザー製品用、30%がシューズ用で、年間9万スクエアメーターを供給している。


イタルペル社の共同経営者のPaolo Quagli(パオロ・クワーリ)氏は、「現代のニーズにマッチした革を、最新のイノベーションと伝統で仕上げてつくっている。現在は2代目世代が会社を運営しており、労働環境の改善や工場のエネルギー排出改善などにも注力しており、クライアントにはクラフト感のある製品を届けている」と語る。メインに使うのは、牛のショルダーでブルもある。原皮はフランスやスイス、ブルはフランスから輸入されるものが多い。


デリケートな植物タンニンなめしの革は、原皮の質や水質、気候や季節によって、その質が左右される。クワーリ氏は「そこで重要になるのが経験。原皮の選択や調整、外注先とも30年以上の取り組みがあってなし得るものがある」と語る。タンニンで多く使われるのはケブラチョで、加脂には牛脂ベースのものを使って柔軟性を出している。クワーリ氏は「このやり方はルネッサンス期から行われてきたもので、これが現在でも一番適しているから続けている」と話す。

イタルペル社の新製品。イタリア植物タンニンなめし革協会のロゴがついている

さらに「基本は、革本来の性質を生かし、長い間大切に使ってもらえるなめし革をつくろうと考えている。我々の革を使った製品は、古くなっていくのではなく、馴染んで成熟していくことが特徴だ」と話す。さまざまなニーズに応える製品づくりも行っている。最近の皮革の価格の上昇に対しては、少し下のレベルの革でありながら、仕上げによりクオリティを上げるような素材も提案している。


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